第17話 衛生面は最悪です
ラミアートの部屋に入るとそこには地獄の光景が拡がっていた。
ダンの盗聴器を取り除く為に、ノバレンと兵士数名がダンを押さえ付け、ラミアートがダンの項をいじっていた。
それはもうリアルな音が響いていた。
その痛みに耐え切れず叫びまくるダンの姿を見ていると、心がすごく痛かった。
いくら男とは言え、ダンはまだ15歳。奴隷だった頃の暴力で多少痛みに耐性はついていたっぽいけど、さすがに刃物でブスリは想像を超える痛みだろう。
それを声も出さずに耐えたダン。
しばらくはダンの世話は私がしようと誓った。
あと、何か欲しいものとか買ってあげよう。
しかし、この世界に麻酔というものは無いのか。
「それにしても、つくづく運がないですね、ダンは。今ちょうど麻酔を切らしているというのに。」
あ、なるほど。麻酔はあるけど、今は無いと。
私はあまりにも可哀想なダンの手を握ってあげることしか出来なかった。
1時間程で盗聴器を取り出し綺麗に首の傷を縫ったラミアートが笑顔でダンの頭を撫でていた。
「よく頑張りましたね。」
「ベル、手、まだ握ってて。」
泣きながら私の手を強く握るダン。
私は頷いて握り返すと、ダンは気絶した。
「ダンは大丈夫なのか?」
「もちろんです。私の手にかかれば傷あとも残しませんよ。」
ラミアートは苦笑いしながら取り出した盗聴器をこっちに持ってきた。
「意外と小さいな。あの膨らみからしてもっと大きいのかと思っていが。」
「あれは化膿して腫れていたんですよ。ナイフを刺した時膨らみはかなり小さくなっていたはずです。」
「なるほど。つまり、衛生面が悪かったんだね。」
「そういうことですね。菌が着いた状態で入れられたのでしょう。全くもって不愉快極まりないですね。うちの最年少をこんなふうにいじめるなんて。どこのどいつですか。メス入れて内臓かき回しますか?」
「落ち着けラミアート。」
ラミアートの手にはメスが5本握られていた。
私はそのメスをそっと下ろさせ、ラミアートに全て話した。
「という訳だ。」
「コール・ディアンベル、あいつ、昔っから嫌な奴だったんですけど、まさかここまでとは。はっ、所詮能無しは何をやっても能無しのままなんですね。」
「知り合いか?」
「えぇ、まぁ。昔からクソ野郎ですよ。アイツは。」
上品ラミアートからは考えられない言葉が出てきた事に私とノバレンは驚きを隠せなかった。
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