第15話 盗聴器
シュフェルの気配が完全に消えたのを確認して部屋を出て自室に向かった。
そこには、縄を解かれたダンと、ノバレンがいた。
「ベルどうする?」
ノバレンは困った顔で訪ねてくるが、相手に盗聴されている以上、普通の会話はできない。
「そうだな、殺すしかないさなぁ。」
私はまた紙に書いてそれをダンにみせた。
(盗聴器はどこだ?)
「だよね、ごめんねダン。」
ノバレンは話を合わせてくれた。
(首の後ろのしこり)
その間ダンは返事を書く。
私がそっとダンの後ろに回って確認すると、確かに大きめの不自然な膨らみがあった。
ダンの少し長めの髪に上手く隠されていたようだ。
「ここで首を跳ねてやる。なに、一瞬で終わる。」
(今からナイフを刺して盗聴器壊す。痛いだろうが声は上げず我慢しろ)
ダンはそれを見ると1回だけ頷いた。
見る限り盗聴器は浅い所にあるようでナイフなどで思い切り刺せば届きそうだった。
私は部屋にあった食事用の、なるべく細いナイフを手に取りダンの後ろに戻った。
「ノバレン、こいつを抑えておけ。」
「分かった。」
ノバレンは近くにあったタオルをダンにくわえさせ、床に寝かせると、両手をしっかり抑えた。
私は思い切りナイフを振りかざす。
ダンはタオルを噛み目をギュッと閉じた。
狙うは項の膨らみ。
少しでもズレれば神経に届いてしまうかも。
いや、変なことは考えてはダメだ。
私は心の準備をして落ち着かせていた瞬間、
「え。」
手が勝手に振り下ろされた。
肉を割く感覚が伝わってくる。
『こんな事に怖気づいてどうする。』
ベルゥゥウ!!
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