第12話 可愛い女の子
「あのさベルリア、この物語のこと知ってるって言ってたよね?」
『あぁ。』
「じゃあ、いつか死ぬことも?」
『もちろん。けれど今ではない、はずなんだ。それなのに何故か私の魂は散らばった。』
「ん?待って、探さなきゃ行けない魂の欠片っていくつ?」
『15だ。』
「どこにあるかは?」
『分からぬ。』
はぁーい。え、嘘でしょ。私3つくらいを想像してましたわ。
15ですか。
しかも場所は分からないと。
こんな広い帝国の中を探すだけでも大変なのに、むしろこの帝国に無い可能性もあるかもしれないと。
『心配するな。1つ見つければその欠片が他の欠片へ導いてくる。ハズだ、多分。』
「うわあああ!今多分って言った?大変なやつじゃん!まぁやりますけど?推しのためなら、やりますともえぇ。」
私は頭を抱えながら発狂した。
ベルリアはそれを見ると少し引きながらも背中をポンポンと優しく叩いてくれた。
『お前は、なぜそんなに私のことを…。』
「え?だってカッコイイじゃん!」
ベルリア一瞬動きが止まって直ぐに声を出して大笑いし始めた。
『あはははははっ!!そんなこと言うのはお前くらいだな!はははっ!!』
「え!?なんで!?ベルリアちょーかっこいいじゃん!」
『知っての通り、私には悪い噂が耐えなくてな。悪口を言われるのが当たり前で、夫達も私の事を褒めるような事はあまりない。褒められて天狗になるといけないからな。だから、なんだか新鮮だな。人に褒められるのは。』
「へぇー。皇帝って大変なんだね。」
『そうさ。おかげで子供も作れん。そろそろ跡継ぎを産んでおきたいのだがな。』
ベルリアはそう言って私を見るとニヤリとした。
「え!?わ、私に産めと!?」
『冗談だ。』
ベルリアはまた大笑いした。
私はこの時、ベルリアの印象が変わった。
笑わない、クールで強い人と思ってたけど、本当はよく笑う、美人で可愛い女の子みたいだった。
『本当に悪いな。条件に合うのがお前だったんだ。お前にしか頼めない。時間はこの物語が終わるまでの2年間。大変かもしれないが、改めてよろしく頼む。』
ベルリアは急に真剣にそう言うと頭を下げてきた。
「うん。やってみる。けど期待はしないで。」
『まだまだ話しておきたいことがあったんだが、次の機会にしよう。』
ベルリアがそう言うと私の身体がだんだん透けてきた。
「あ!そう言えば、なんで私なの!?」
私が1番聞きたかったことを聞くと、
『本当のお前のことを思い出してみろ。すぐに答えが分かる。』
そう言って笑ったベルリアを見たのを最後に一気に意識が引き寄せられる感覚に襲われた。
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