第10話 2回目
スルガはちょっと照れながらも嬉しそうに食堂を出て行った。
すると物陰からノバレンが現れた。
「ベル。」
「済まない、ノバレン。部屋まで頼む。」
私はそう言うと体から力が抜けたようにその場に座り込んだ。
私は食事の時に気づいた。
また、毒が仕込まれていることを。
匂いこそ無かったが、口に入れた瞬間に、あの時の記憶と同じ味が広がった。
直ぐに食べるのをやめたから身体の痺れ程度で済んでいるが、おかげで犯人が分かった。
「あとは僕達で処理しとくよ。」
「ま、て。しっかり、じ、じょうを、聞き出せ。あの子は、まだ、15歳だから。なにか、巻き込まれてるんだ。」
「…でも、ダンももう子供じゃない。一応話は聞くけど、期待はしないでね。」
「…分かった。」
話している間に私の部屋に着いた。
ノバレンはそっと私をベットに降ろして布団をかけてくれた。
ノバレンは優しく微笑んで「大丈夫。」と一言言うと、結ばれた髪の毛を解いて、そのまま額にキスをして部屋を出ていった。
さっき目が覚めたばかりなのに、もうベットに戻ってきてしまった。
毒を入れたのは恐らくダン。
多分何かしらの事情がある。
はぁ、まだこの物語の主人公、ミリア、ミアにすら出会って無いのに、毒を2回、しかも旦那に盛られるなんて。
ん?待てよ。ベルリアの旦那の名前って全員は出てこなかった。てかむしろ出てきたのはミリアの兄とノバレンとスルガくらいだった気が…
あぁ!思い出せ私!
で、ミリアのことを囲う男たちの名前は確か…
エドワード、シュエード、フォルダ、エバノエ、ダリアン。
だ、ダリアン?
ダン!?
でもキャラクター背景に、ベルリアの旦那なんて書かれたキャラは、ミリア側にはいなかったはず…
ずっと悩んでいると脳内で声が聞こえた。
『ふっ。変な顔。』
「あなたのお顔ですが!?」
『まぁ、そう焦らずとも、今はノバレン達が上手くやってくれる。』
「今は?」
『まだ物語は始まってない。』
「なんで物語のことを…」
『そのことも詳しく話さねばならない。と、その前に、眠れ。このまま話すのは少し気分が良くない。』
そう言われた瞬間私はストンと眠りに落ちた。
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