第6話 おかえり

部屋を出るとメイドが二人待っていた。


二人は静かに私の後ろを着いてくる。


しばらく歩いて行くと大きな扉が現れた。中からは賑やかな声が聞こえてくる。


メイド2人が扉を開け中の景色が一気に見える。

同時に皆の視線が一気に私にむく。


大きなテーブルが1つ。これは、10メートルくらいありそうね。


さっきまで話していたのであろう10人のイケメン夫達は直ぐに静かになった。


うぅ、私の人生最大のモテ期よ…いや、私の体では無いけど、これだけは言わせて欲しい。


イケメンの視線が全部私のものだと思うと、気持ちぃ…。


はい。優越感タイム終わり。


みんな待ってるんだ。


私が自分の椅子に座ると皆もそれぞれの場所の椅子に座った。

すると皆も座り私の言葉を待つ。


私は大きく深呼吸をして話し始める。


「みんな、この2ヶ月本当にありがとう。私がいない間この国を守ってくれたこと、本当に感謝する。心配かけたな。ただいま、愛する夫達。」


うわぁ、めっちゃ恥ずかしいのにするする出るわ。でもこれは、ベルリアの本心なんだろう。


胸が熱い。


本当に感謝の気持ちが溢れてくる。

急に顔が熱くなり下を向くと、ガタガタと、椅子が鳴った。顔を上げると、みんなが立っていた。


「おかえりなさい。愛しのベル。」


みんな声を揃えてそう言うと何人かは照れ臭そうに座り。何人かは嬉しそうに笑い。何人かは、泣いて…あれ、何だ。


泣いてるのは、私か。


ベルリアの気持ちと、私自身の気持ちが重なり、思わず泣いてしまった。


本ではベルリアが誰かに好かれてたなんてシーンはほとんどなく、こんなにもベルリアのことを思ってくれてる人がいると分かったら、なんだか急に、自分の事のように嬉しくなった。


そして、1度も言われたことがなかった「おかえり」がこんなにも、安心するものなんだと、初めて分かった。


「なんだよ。幸せじゃん。」


思わず出てしまった。


「ありがとう。」


私は涙を拭いて笑って言った。


「お腹空いた!」









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