第1272話 一筋の光?

 俺は1つの可能性に行き着いた。それを確認するために、チビ神に連絡をとりたいが、俺に教えられる内容なのか? そもそも連絡は出来るのか?


 だ~頼む! 繋がれ! チビ神出て来い!


『何よ?』


 はぁ? 思ったよりあっさりと繋がった。っと、そんな事はどうでもいい。1つ聞きたい事がある。答えられないなら、答えられないと言ってくれ。


『いいわよ、何が聞きたいの?』


 1の世界から2の世界には召喚できないって言ったよな? で、創造神の爺が言った「この世界のどこかにいる」って発言の世界は同じ意味であってるか?


『イエスよ』


 じゃぁ【お前が言った世界】と、【神のダンジョンが存在している世界】は、同じ意味の世界か?


『……ノーね』


 神のダンジョンが存在している世界が複数集まって、お前が言った世界だったりするか?


『答えられないわ』


 それじゃ、答えられないって言ってるのに答えている様なもんだろ。まぁ助かった。また何かあったら連絡する。


 とりあえず、疑問に思っていた事が解決できた。だけど、それが今回の事態を解決する物では無い。


『主殿、何かわかったのですか?』


「一応な。少し勘違いをしていた事があってな。同じ言葉だから同じ意味だと思っていたんだけど、実は違う意味だったって事が判明したんだよ」


 よく分かっていない様子だったので、説明する。


「この星には、いくつもの世界があるんだ。正確に言うと、元々1つだった世界が、何かしらの理由で複数の世界が合体したものがこの星なんだよ。そして、この世界から他の世界には召喚できないって言ってたのは、この星から違う星には召喚できないって意味だったんだ」


『それが分かったからと言って、何が変わるんです?』


「妻たちが他の星には行っていないという事。この星の他の世界に呼び出されたという事。そして、呼び出された時に使われた可能性が高いのが、この星の他の世界にある勇者召喚の間にある物だという事だ」


『先の2つは分かりますが、最後の勇者召喚の間が使われた事には触れていないのでは?』


「チビ神には聞いていないけど、創造神がアドバイスといった時に「本来と違う使われ方をした」と言ったんだ。本来の勇者召喚の間は、異世界からこの世界に人を召喚して勇者という称号を付与する物だと思う。で、チビ神の話では昔、決まった数の勇者とダンジョンマスターが存在すると言っていたんだ」


 ダマだけでなく、シエルもグレンも混乱しているようだ。


「決まった数というのは、この世界で決まった数だと思っていたんだけど、それだったら俺が今までに何人も殺しているのに、新しい勇者が現れないのは何故だ? かなりいるようなニュアンスだったけど、この大陸にはそこまで多く存在していない。だから、神が管理しているすべての世界で決まった数があるという事だと思う」


『だから何なのですか?』


「勇者は、ある程度強い状態で召喚される。そして、勇者は魔物と相性がいい。所謂戦力になるという事だ。何かしらの理由で強い戦力が欲しくなった勇者召喚の間を管理している国が、本来の使い方とは違うが起動させて、妻たちが召喚されたんじゃないかと考えている」


『勇者召喚の間を使ったとして、異世界からではなく同じ星から呼び出されるという事になるのですか?』


「それを調べるために、今勇者召喚の間に向かっているんだよ。俺の考えが間違っていなければ、召喚の間には魔法陣があるんだと思う。そして、壊せないと国王が言っていたから、神が作った物で何かしらの保護機能があるじゃないかな?


 魔法陣があっても、発動するには最終的にはイメージが必要になる事は実験で分かっている。魔法陣の召喚の部分を発動させて強い人間を呼び出そうとしたんじゃないかって考えてる」


 かなり強引な考えだが、おそらく答えに限りなく近いと思う。


 それなら、こちらに呼び戻す事も可能だとは思うが、発動させられるか分からないので直接大陸に乗り込む方法しか取れないと思う。


 どういう扱いを受けているか分からないけど、もし戦力が乏しくて困っている場所に呼び出されたとすれば、年長組がいて従魔もいるからそう簡単にやられる事は無いはずだ。問題なのは、持久戦をされるとかなり不利になるという事だろう。


 だから早く助けに行かなければならない!


 そうこう考えている内に、王国にある勇者召喚の間がある祠に到着した。


 待機していた兵士に許可をもらい中に入っていく。


 そこは、半球状にくりぬかれており、床には魔法陣が隅々まで描かれており、さらには半球状の壁にも模様が描かれている。それ以外には特に何もない空間だった。


 魔法陣だったとして、それを起動する魔力はどこから? 兵士に話を聞くと、床の魔法陣で窪んでいる場所にAランク以上の魔石を置いていくのだとか、神託で魔石の数を指定してくるらしい。


 ん~魔力は魔石で補う? 同じ勇者召喚でも魔石の数が違うのは、付与されるスキルの所為か?


 カメラを回して、隅々まで撮影する。


 ここで調べる事はもうないので、聖国へ向かう。


 いけねえ、教皇に連絡してなかったな。夜12時を回っているが、関係なく連絡を入れる。どうせアンデッドだから眠らないだろう。そもそもヴァンパイアなんだから夜行性じゃないのか?


 どうでもいい事を考えていると、すぐに返事があった。


 王国と同じように丁寧に説明して勇者召喚の間に入れるように手配してもらう。


 聖国の召喚の間も聖都から近い所にあるらしい。何か決まりがあるのだろうか?


 撮った映像のデータを妻たちの所へ送り、綾乃とバザールに解析をお願いする。


 あの2人は、特に綾乃は、ツィード君と色々物作りをしているおかげで、魔法陣や魔導具の機構にかなり詳しくなっている。バザールも一緒に作業する事が多いからそれなりに知識があるのだ。シルクちゃんやツィード君が召喚に巻き込まれたのは痛いな……解析に時間がかかるかもしれないな。


 他にも魔法陣に詳しいメンバーがいればな……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る