第1259話 悪魔現る

 グリエルから話を聞いて正直あまり見たくないのだが、ここの視察はまだだったので今回はしょうがなく、監視映像で見る事にした。


 ちなみに、ここにいるある魔物は、俺のダンジョンにいるので制御下にあるはずなのだが、男を見ると狂戦士化したように命令を受け付けなくなるのだとか。初めての遭遇の時は、ホモークが何とか間に入って事無きを得たがかなり危なかったそうだ。


 ホモークやホモゴブリンにはまったく興味を示さないのだが、人種の男を見るとバーサーカーになってしまうので、以後の対応は女性が行っている。


 この中にまだ人種の男を入れた事がないのでどうなるか分からないが、下手をしたら先程のホモゴブリンの所より厳しいんじゃないだろうか?


 グリエルやガリアは『今回みたいに、性欲の有り余っている人間にとっては天国なのではないでしょうか?』とか言っていたので、大丈夫だろう。


 しかもこの魔物、聖獣であるダマと同じで人語を理解している上に、魔物自身も話す事ができるのだとか。


 世話をしている女性が聞いた話だが、ダンジョンの中にいるので衝動が抑えられているが、ダンジョンの外にいればおそらく人種の男を探しに彷徨い続ける自信がある! とか言っていたらしい。


 一応、魔法薬タイプの精力剤を準備しているらしいが、この魔物のスキルに初見のスキルがありこれがあれば必要ないのでは? と思わせるスキル名だった。


【催淫パルファム】


 何で漢字と英語? スキル名なのか? と思わなくも無いが、スキル欄に表示されているのでスキルなのだろう。しかもスキルLvもあるので間違いないと思う。


 ある魔物のエリアに入る前に女性兵士が中に入っていって事情を説明する様だ。


 5分後に出て来た。ちょっと疲れた様子をしているが、問題ないとレイリーに報告していた。


 この先は、男子禁制(犯罪者除く)なので、レイリーや他の男性の兵士はその場で待機となった。


 ここに連れてこられた罪人は、聖国から送られて来た半数、約40人が来ている。それに対して、ある魔物は今の所6匹しかいないのだとか。DPで召喚できないので、強制的に増やす事はできない……いや、個人的にはこれ以上増やしたくないな。


 罪人が連れられてエリアの中に入っていく。


 画面が切り替わり、ある魔物の姿が視界に入る。見た目は大きく分けて3種類に分かれていた。神の悪意しか感じない魔物がそこにはいた。


 その魔物の種族名は、【オークレディ】


 ゴブリンと違いオスしかいないと思われていたオークにメスが現れたのだ。そしてこのオークレディは先程も言った通り、人種の男にしか反応しないのだ。


 見た目が3種類に分かれていると言ったが、その3種類は、


・顔が少し細くなったオークの顔に、グラビアアイドルも裸足で逃げ出すようなナイスバディ。


・顔はオークの面影があるのだが人種が好むような美人顔に、オークのようなでっぷりとした体。


・顔が少し細くなったオークの顔に、オークのようにでっぷりとした体。


 いても困るのだがここまで来たら、顔はオークの面影があるのだが人種が好むような美人顔に、グラビアアイドルも裸足で逃げ出すようなナイスバディのオークレディも準備してほしかった。


 もしかしたらいるかもしれないけど、正直遭遇はしたくない、ホモークと初めて遭遇した時みたいに背筋に寒い物が走りそうだ。


 そのオークレディは、目隠しをしていた。視界に入れてしまうと今すぐ暴走してしまうので、罪人の準備が整うまでは目隠しをしてもらうようにお願いしたのだとか。


 ただオークレディは、高ランクの魔物だ。そのおかげで身体能力も五感も鋭いので、人種の男の臭いをかぎ分けており、すでに若干興奮し始めている。


 ダンジョンの中で抑えられていたとはいえ、ここまで1ヶ月程禁欲していた状態なので、鼻息が荒くなっている。


 その場にいないのに、ゾゾゾッとサブイボが!


 拘束するとか言っていたのだが、先程の話し合いの結果、魔力を吸い取るアタッチメント付きの奴隷の首輪以外の拘束具は付けていないようだ。


 後で話し合った女性兵士に聞いたら、逃げる相手を追いかけたいとか言っていたらしい。俺にそんな事を言うのはどうかと思い口ごもっていたが、レイリーの命令により言葉にしたのだ。


 女性兵士がオークレディのエリアから出ると、拡声器を使って目隠しを外していいと宣言すると女性? メス? らしからなぬ奇声を上げて獲物を追いかけ始めた。


 ちなみに、このオークレディのエリアは、花街のようにゴーストタウンの壁の近くにあり、壁を彫り込む形でエリアを拡張している。オークレディが運動できるスペースに、体を鍛えるための専用のダンジョンまで準備されている。


 オークレディの獲物という状況を理解した、このエリアに連れてこられた罪人は、脱兎のごとく逃げ出した。


 騎士団に所属していた罪人はレベルがそれなりに高いので、頑張って逃げているが、領主や文官・司教は、でっぷりと肥えているためすぐに捕まってしまう。


 人種の男を両脇に抱えているのに、視線の先には下種、屑とはいえ鍛えられた体の騎士団に所属していた奴らがいる。


 好物は後にとっておく主義なの! と言っているかのような表情だ。


 ゾゾゾッ


 オークレディには各々に家が準備されており、そこに連れ込まれていく罪人、ドナドナされていく子牛のようにみえた。


 さすがに家の中まで覗く勇気はない。妻たちは特に気にする事も無く見ていた。


 見終わった後に、オークレディの持っている催淫パルファムというスキルの効果を教えてくれた。


 いくら性欲魔獣のこいつらでも、オークレディを目の前にして見た目と恐怖で一物が縮こまってしまっていたが、そのスキルを使ったと思われる直後に、本人の意思とは別に臨戦態勢に強制的に移行されてしまったそうだ。


 両手両足を縛られた状態の罪人に跨り、生気……性気を搾り取っていたのだとか。搾り取ればとる程オークレディは元気になっていき、何とか逃げていた騎士団に所属していた奴らも捕まり、同じ末路を歩いたのだとか。


 後日、様子を聞いた所、罪人の好みの女性の裸を見てもピクリとも反応しなくなったのに、オークレディのスキルで強制的に臨戦態勢にさせて搾り取っているようだ。


 共感してくれる仲間がいないので、自分の中で消化するのに時間がかかってしまった。

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