第932話 バグ?
拠点。船に戻ると、甲板では夕食の準備が進められていた。そういえば、キッチンから甲板までの道中が長いという事で、改造をするように詰め寄られたっけな。
さすがに今日はバーベキューではないようだ。それもそうか、毎日バーベキューじゃ飽きるってもんだよな。
ちなみに今日の夕食は野菜が多かった。お肉は鶏肉、しかも脂を押さえるために皮をとって綺麗に処理されてボイルされ、更にスモークされた物をサラダチキンとして使い、サラダと一緒に食べるスタイルだ。
他には、八宝菜や酢豚風の食べ物などがあった。鶏は脂を抑えているのに、中華系で油をたくさん使ってるな……どうなんだろ? あっ、酢豚風っていうのは後で聞いた話だけど、豚じゃなくて焼麩を使ったヘルシーなのかは分からないが、これも一種の精進料理と言えるのだろうか?
まぁどんな料理でも問題ない! シルキーの作る料理のほぼ100パーセント美味いからな! 本当に、本当に、極まれに際どい料理が出るだけだからな。最近いろんな調理法覚えたせいで、チャレンジ精神が、変な所で発揮されるんだよね。
「ふ~今日は、野菜や穀物中心の食事だったけど、満足したな~酢豚に使われてるのが、豚肉じゃなくて焼麩だったとはね。あれにはびっくりしたわ」
俺のセリフにみんなも頷いてる。特にシュリも頷いているので、本当に満足できる料理だったようだ。シュリは普通のサラダや米だけじゃ足りないから、こういった料理の時は別メニューが用意されるのだが、今日は別に用意されていなかったのだ。
今日は明日に備えて、お風呂に入り早めに寝る事となった。
「ん~もう朝か。しっかり寝れた感じがするし大丈夫だろう!」
いつもより早く寝たためか、いつもより早く目が覚めていた。まだ太陽が出ていない時間だ。
甲板に上がってのんびりしようと思ったら、嫁達も全員甲板に出ていた。俺と同じで早く目が覚めてしまったのだろう。
「みんな、おはよう!」
甲板に出てきた俺を見て、みんな苦笑いしている。考える事は同じだったようだ。部屋でのんびりするより、甲板の空気を吸いに来たんだな。
「シュウも来たんだね。みんな早く寝すぎたせいか、目が冷めちゃってね。せっかくだしみんなでストレッチでもしようか?」
俺が甲板に出てきてまだほとんど時間が経っていないのだが、徐々に明るくなっていくのが分かる。そしてすぐに朝日が差し込んでくる。
30分程ストレッチをしてから、食堂に戻るとビュッフェ形式の、いつもと変わらない朝食が準備されていた。さすがのシルキーである。
「さて、今日は森を刈り取らないでそのまま入ることにしよう。それで、どれだけの魔物が寄ってくるか検証しておきたい。後、シャークマンが出たら森の中まで追ってくるか調べておきたいね」
そういうと、妻たちの半数位が「シャークマン?」と首をかしげていた。半数は何となくあいつだろうと予想していたようだ。そもそもシャークって言っても分からんだろうしな、首を傾げた妻たちには説明しておく。
そうすると納得したようで、シャークマンの意味も直訳して、サメ男と言ったら笑ってくれていたので、納得してもらえたようだ。
「では、行きましょうか? 砂浜に出たら半分ほど進んで、シャークマンが出ないか確認しましょう。もし砂煙が見えたら走って森の中へ移動してください」
ピーチの指示に従って上陸し進んでいく。中ほどまで来たが特に砂浜に変化は無かった。
「まだ昨日倒したのがわいてないのかな? 今日ははずれか……ん?」
しばらく様子を見ていたが、出てこなかったので俺がつぶやくと遠くの砂浜に砂煙が上がる。フラグのつもりは無かったが、フラグを建ててしまったというべきなのだろうか?
「総員、森へ!」
ピーチの短い指示がでる。
殿をシュリが務める形でみんなが森の中に入る。シュリが入っても砂煙が収まらず、俺たちのいる森に近付いてきた。
バサッ!!!
っと、砂をかき分けてシャークマンが出てくる。それに合わせてシュリがフォートレスを発動して防御態勢に入る。
だけど、いつまでたってもシャークマンは、俺たちに攻撃を仕掛けてくる様子が見られなかった。でも、つぶらな瞳で俺達の方を見てくるため……不気味で怖い。何をするわけでもなくジーっと見てくるのだ。
「ピーチ、ちょっと不気味なんだけど、どうする?」
シュリからそう言葉が漏れる。俺も同意見だ!
「そうね。ここから攻撃してみましょうか? シュリ、一旦フォートレスを解いて、いつでも再度展開できるようにしておいて。マリア、弓で攻撃してみて。出来れば急所じゃない所でよろしく」
ピーチの指示に従って2人が動き出す。マリアから弓が放たれ矢が当たるが、シャークマンは無反応だ。
「何かオンラインゲームのハメ技、バグ技見てるみたいだな」
なんというか、タゲは俺たちにあるけど侵入禁止エリアから、一方的に攻撃をしている感じなのだ。続いてライムの魔法攻撃もくらうが無反応。結局死んでドロップになるまで動く事はなかった。
「これを上手く利用すれば、低レベル層のレベル上げが楽になるって事か? この世界でこんな方法があっていいのか?」
この世界にしては、珍しく抜け道のような不吉な感じがする。ピーチも気になって、3度程試すが結果は同じだった。
「ご主人様、どう判断いたしますか?」
「利用するには怖いバグみたいなものだよな。いつか使えなくなる可能性を考えておかないと、無駄な死人が出る気がする。ここのフィールドダンジョンは、自然発生のダンジョンだと思うから、神の気分次第では仕様が変わる可能性もあるしな。ここを冒険者に開放するなら、そこまで注意して利用させる感じかな?」
俺と同じ考えのミリーはうんうんと頷いている。
今はこれ以上やっても仕方がないので、森を進んでいく事になった。
襲ってくる魔物はLv40前後の魔物で、大した特殊能力もなく、フレデリクの街の近くにある亜人の森みたいなものだろう。あそこの方が全然Lvが低いけどね。それに、フィールドダンジョンだからレベルは上げやすいはずだ。高レベル冒険者が量産される?
実際適したダンジョンがあれば、レベル100なんて簡単に越してしまうのだ。ディストピアの大半の冒険者や兵士は、すでにレベル100を越している。中には150を超している者もいる。辺境の騎士団長クラスが数年で量産されている形だ。
一兵卒がレベル100を超しているとか、敵対する軍があれば何の冗談かと思うだろうな。
1日使って4キロメートル程奥まで入ったが、魔物のLvは平均で5程しか上がっていなかった。
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