第887話 いったん終了
拠点作成から11日目。
「今日は橋を造って細々と作業をしたら、一旦ディストピアへ帰るぞ! 張り切って作業しよう!」
「シュウ、張り切ってって言うけど、それって私たちに出来ることないわよね?」
「そんなことないぞ! 橋自体は島の周囲5メートルまでは作成できるけど、そこから先は自分たちで造らないといけないし、実は他にもしなきゃいけないことが残ってるからな!」
拠点自体の器は出来ているのだが、まだ内装やら家具やらキッチン、トイレ等々しなきゃいけない事が沢山あるからな。
「橋自体は、DPと魔法で繋げるのは終わるけど、家具は召喚して配置しないといけないからね」
そういうと、みんな納得してくれた。
「じゃあ、割り振りはシュウが橋で、私たちは家具や内装をすればいいの?」
土木組には、クリエイトゴーレムを使って家具を補強してもらい、妻たちは内装や家具の配置を頑張ってもらう事で話が決まった。
「後、橋を造り終えたら俺は、1階の上に人工芝生を敷き詰めるから何人か手伝って欲しい」
「了解。あっ! 最後に一つだけ、橋はなんでDPで造るの?」
「そんなの決まってる! 俺が造りたかったのは橋じゃなくて、拠点だからな! 時間のかかりそうな橋は、ちゃっちゃと終わらすのだ!」
どや顔でいうと、妻たちはそんな人だったと思い出したようで、ため息混じりに俺のことを見て、なにも言わずに作業を開始していた。土木組もそれを見習って、俺になにも言わずに船を降りていた。
近くには、ダマとバッハしか残っておらず、その2匹も俺を慰めるかのように、そっと膝に手をおいていた。
ちなみにリバイアサンは、護衛の仕事は終わったとアピールして、三幼女に許可をもらって自分の領域に帰って行った。そこは、俺に許可をもらうべきじゃないのか?
まぁいいか、サクッと橋を造ってしまおう。
拠点の島側に来た。さすがに水面まで高すぎるよな。ってことは、まず水面下近くまで降りられるようにしたいとな。
DPで操作して階段を作成する。
「さて、どういう橋にするべきか? よく考えたら水深15メートルはあるんだよな。アダマンタイトで二本の棒を通して、ボタンで橋が架かる感じが一番楽か?」
いざ造ろうとしたら、いいアイディアが思いつかなかった。
しばらく悩んだが、いい方法がおもいつかなかったので、かんがえることを止めた。
「アダマンタイトの板を、階段の下からせり出すようにして、橋にすればいいよな。で、ボタンでスライドできるようにして、途中に支えになる柱がいくつかあれば問題ないだろう」
そういって、俺はDPを操作して考えた橋と呼べない橋を造った。ダンジョンの干渉を無くしてから、大量の魔力を使って橋を可動式にするようにクリエイトゴーレムを使用した。
「あ~疲れた。魔力を使いすぎて、また気持ち悪くなったな。休む前に、橋を動かしてみよう」
手元にあったボタンを押すと、架かっていた橋がドンドン拠点の下に収まっていった。
可動自体に大きな問題はなかった。だが、一つだけ大きな問題が出た。
「耳が痛い!!!」
アダマンタイトの板とアダマンタイトの柱が擦れてでた音が、凶悪的にうるさかったのだ。あわてて止めて、板と柱が接触する部分をローラーに替えて何とか問題が解決した。
稼動は問題なかったので、島まで再度橋を伸ばしてから、島までの残り5メートルはアースウォールでサクッと作成して終了した。
船に戻って橋を確認してみたが、あれを橋と呼んでいいのだろうか? と疑問になる光景だった。
「機能に問題なければ、それ以上こだわる必要はないよな。これで完成でいいだろう! さて次だ! 人工芝生を張りにいくぞ!」
声を出して気合いを入れた。
人工芝を一面に召喚しようとしたが、召喚できるのが長さは無限に設定できるのに2メートル幅が限界で、それを何枚も並べて召喚しようとしたが……よく考えたら、拠点はDPで作っていないので直接召喚して、貼り付けるように召喚できなかったので、長さだけ合わせて人工芝生を召喚していく。
年少組に手伝ってもらい並べていく。全部並べ終えて、一息ついてると、
「シュウ、これが人工芝? っと危ないわね。これしっかりと張り付けてないの? こんなんじゃすぐにボロボロになって破れるわよ」
様子を見に来たカエデに言われて気付いた。
「そっか、人工芝ってただひけばいいだけじゃないよな。でも、張り付けるにしても屋根に直接打ち付けるわけにもいかないよな。すのこをたくさん置いてそれに打ち付けるか?」
「すのこっていうと、倉庫の床とかに使ってるあれ? 確かにあれならいいかもしれないわね。すのこをおいて張り付けるのは、結構な手間がかかるけどね」
「そこら辺は割り切ってやるしかない! 年少組の皆! 頑張るぞ!」
「「「「「「「「お~~!!」」」」」」」」
縦横2メートルのすのこを大量に用意する。屋根の広さが40メートルの45メートルなので、1メートル余ってしまう分は、クリエイトゴーレムをかける際に半分に割って置けるように加工している。俺は黙々と450個程のすのこにクリエイトゴーレムを使い魔核を埋め込んでいく。さすがに精神的に疲れた。
その甲斐もあって、1時間ほどですのこを並べる事が出来た。
「さて、どうやって人工芝をすのこに打ち付けるか」
なんか釘を打ち付ける大工道具があった気がするな。でも人工芝に対応しているのだろうか? あれ? そういえば、握ってホッチキスの針みたいなのを打ち付けるやつもあったな。なんていうんだっけ?
思い出せなかったので、最近はまっているテレビ番組で、芸能人がリフォームするコーナーのある番組のデータを呼び出して見返す。あった! タッカーだ!
道具の名前も思い出せたので、タッカーを人数分召喚して、みんなに簡単に使い方を説明して1列に並んで針を打ち込んでいく。
程なくして作業が終了する。
「ご主人様、さすがにそろそろお昼にしませんか? 時間が大分過ぎているので、スカーレットさん達がそろそろ怒り出しますよ」
それはまずい! 急がねば! ご飯抜きは絶対にいやなのだ! 慌てて船に戻る。そこには般若になりかけているシルキーたちが待っていた。頭を下げて食事を食べさせてもらえるようになった。
食事中に建物の中の話を聞くと、どうやら2階の部屋には全部家具を入れ終えて、3階の2割位の部屋まで終わったそうだ。
「それじゃ、1回ディストピアに帰ってどうするかレイリーに相談しよう。一応、事前に話はしてあるから、向こうで何か考えてくれてると思うけどね。いったん帰るぞ! という事でブラウニー、ディストピアに船を向けてくれ」
そうして2週間弱の休暇が終わった。
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