第840話 総力戦?

 商会の支店へ歩いて帰っていると、


「シュウ様……私たちのために、ありがとうございます」


「気にすんな。妻たちにもお願いされたし、お前たちも身内みたいなもんだろ。それに、払った金だって勝てば戻ってくるし、もし負けてしまってもまた稼げばいい。やるからには負けるつもりはないけどな。


 帰ったら、妻やグリエルたちに話して、戦争準備をするぞ。それと、もし今回の宣戦布告が拒否されても、国王から勅命があるから、普通の戦争は確実にすることができるんだよ。奴隷にはできなくても、犯罪の称号があるやつらは、全員捕える事ができるからな」


 3人に何度も何度もお礼を言われるため、鬱陶うっとうしくなり強制的に話を終わらせた。戻ってきたので、さっそく会議室を使ってみんなに連絡を取る。


「……という事だから、戦争準備だけは始めるぞ」


「了解しました。話の流れからすると、今回はディストピアの兵も冒険者も使わない、という事でいいですか?」


「あぁ、そこなんだけど、戦争に従魔を使ってはいけないってルールはあるか?」


「いえ、そんなルールはありませんね。街と街の場合であれば、宣戦布告を受けた段階で、その街にある戦力で対処する事が絶対条件で、そこにはその街に住んでいる魔物、従魔も含まれています。過去に従魔が戦争に出てきたという事は多々あります。


 それに、街対個人の場合は、街の条件は変わりませんが、個人に対するルールとして、個人で用意できる戦力で戦う事。これには、財力や権力で集めた戦力も有効をされています。普通は、個人で貴族の準備する戦力に対抗するだけ集める事は難しいですからね」


「おっけー、じゃぁ今回は、バッハとワイバーンの家族も念のため準備させてくれ。俺とミリーの従魔も全員呼ぶぞ。後、シェリル・イリア・ネル、リバイアサンにもお願いしてくれ。出番があるとは思わないが、保険として頼む」


 バッハたちを動員する事を聞いて、グリエルとガリア、ゼニスは若干引いていたが、リバイアサンも動員すると言った時は、さすがの嫁達も顔が引きつっていた。


 シェリルたちは、遊びに行けるんだね! と無邪気に喜んでいたので、リバイアサンの方は大丈夫だろう。あいつ、本当に俺のいう事聞かねーから困んだよな。


「そうだ! ご主人様、土木組も連れてっていいかな? みんなで行った方が、絶対に楽しいと思うの!」


 シェリルからのお願いがあり、グリエルとゼニスに目で大丈夫か確認を取ると、早めにわかれば問題ないと言った返事が返ってくる。俺は何故に目だけで会話ができたのか不思議だった。


「じゃぁ、シェリルたちからみんなに、伝えておいてもらっていいかな? みんなが嫌って言わなければ、連れてきていいよ。まだ戦争の日時が決まってない事も、しっかり伝えておいて」


「「「りょーかいであります!」」」


 俺がたまに、妻たちにお願いをされた時に、ネタで敬礼しながら同じような口調でやっているのをマネされたな。微笑ましくて可愛いからいいんだけどな。


 だから、俺はロリコンじゃないからな? ロリコンって言うならリバイアサンだと思うんだけど、俺の話を聞かずに3人の話はよく聞くんだから。


 でもな、そのリバイアサンって実は雌なんだそうだ。三幼女曰く、恥ずかしがり屋さんで可愛いらしい。世界最強の魔物と言われるリバイアサンも、三幼女の前ではただの同性のような感覚なのだとか。


 ロリコンって和製英語だから、厳密には定義が怪しかったりするんだってね。だから俺は、少女が好きって言う意味で、ロリコンという言葉を使っている。俺は、あの娘たちだから好きなだけであって、少女が好きというわけでは無い! だから断じてロリコンではないのだ! って何熱く語ってんだか。


 良くない意味で使われる言葉で、もう1つ気になってるのがあるんだよね。セクハラって、セクシャルハラスメントって事じゃん? 言葉にすれば性的嫌がらせなのに、逆セクハラって言葉があるのが疑問なのだ! 男から女にしても、女から男にしても、セクハラに逆なんて存在しなくね?


 もっと言ってしまえば、男から男、女から女、にしても性的嫌がらせをすればセクハラだと思うんだ。男から女にするのがセクハラって意味じゃないんだぞ!


 だからと言って何だ! って話だけどな。でも、セクハラを肯定しているわけじゃない! セクハラは忌むべく犯罪だ! って、誰に言ってんだ俺……


 そんな事を考えていたら、残りの話が終わっていた。ある程度の話の流れが決まれば、俺がいない所で話が進んでいくのはデフォルトのようだ。優秀過ぎる仲間を持つと俺が楽できる。堕落していきそうだ。ん? もう堕落してるか?


 相手が了承するかは分からないが、戦争の準備を始める。通常の戦争は、勅命で起こさせることが可能だから、準備しておいても問題はないのだ。


「ただ、みんながくるとなると、今のままの地下じゃ狭いよな? バッハとかワイバーンは、前日に飛んで来てもらえばいいだろけど、妻や土木組に従魔たちも来るんだからな。ミドリ、どうするのがいいと思う?」


「ご主人様、テラリウムは現在の部屋の大きさなら持ち運びができますので、後4部屋位増設すれば十分だと思います」


 俺は、それを聞いた瞬間、ポカーンとした表情をしてしまっただろう。何とか立ち直り、


「ミドリ、別にあの部屋に限った事じゃないんだが……」


「おっと、私とした事が……コホンッ。奥方が来るという事であれば、スカーレットたちも付いてくるでしょうし、土木組も来るのであれば……従魔がのんびり過ごせるフロアを用意しておけばいいのではないでしょうか?


 残りは来てから意見を聞いて、部屋を増設していけばいいのではないかと思います。念のため、従魔は姿を見せない方がいいと思いますので、地下通路も用意しておくのがいいと思います。あ、取り急ぎキッチンの部屋を増設はしていただきたいですが」


「キッチンの件は了解っと……で、何で従魔は見せない方がいいんだ?」


「簡単な事です、どう考えても今回連れてくる従魔の数を、この敷地内でおさめるのは厳しいと思いますので。戦争の時は、3~4日前には現地について合流した、って事にすれば問題ないと思います」


「あっ! そっか。土木組も連れてくるとなったら、オオカミだけで30匹近いもんな。その数がここにいるのは不自然だな。スライムならともかく……うっし、ミドリの案を採用! 従魔の過ごすエリアと、キッチンは……ヴローツマインみたいに、地上と地下のキッチンはつなげておく?」


「いえ、その必要はないかと。ここのキッチンは私が持ってきている、キッチンを設置しますのでそのサイズで部屋を作っていただければと思います」


 そういえば、以前、いつものお礼がしたいから欲しい物がないかシルキーたちに聞いたら、専用のキッチンというか、メイドの嗜みに入れる事の出来るサイズの、持ち運び可能なキッチンがほしいと言われてあげた覚えがある。


 それを使うって事だよな。一応お願いされてたから、いつでも設置できるように、部屋の構造を登録しておいた奴があるからそれを使えば問題ないか。


 そして時間が過ぎ1週間後、宣戦布告に対する返事が返ってきた。

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