第785話 食事後のひと時
専用の籠手以外では、使わない方がいいとわかっただけでも、よしとしておくか。武器に使う事は止めた方がいいな。俺達の武器は基本的にアダマンコーティングをしているので、
それにアダマンコーティングをしている内部が劣化する事が分かっているので、武器が戦闘中に使えなくなるというリスクがついて回る。それなら付与魔法や魔法剣の方が効率が圧倒的にいい。
この差が何から生まれるか分からないが、老ドワーフは、魔力をまとわせる付与魔法や魔法剣と違い、
どんな結論だったとしても劣化するという事実があるので、
とにかく妻たちが実験に参加してなくて、よかったと思っている。俺がプレゼントした武器が壊れなくて本当によかった。妻たちは俺からのプレゼントを、かなり大切にする傾向が強いからな。
初めてプレゼントした仕事着は、すでにボロボロになっているのだが、初めてのプレゼントという事で、みんなが綺麗に大切に保存をしているのだ。
他にも、俺からもらったものは使えなくなるまで使用してから、自分たちの部屋に飾っているので、武器が劣化して原型がなくなれば悲しむだろう。
妻の1人、チェルシーがゴーストタウンで貴族のトラブルに巻き込まれて、偶然が重なってネックレスをなくしてしまった時の、妻たちの反応はヤバかったからな。あの事件に関わったのが合計で50人以上がいたのだが、全員が再起不能になる程妻たちにボコボコにされたからな。
あっ、別に貴族の結末はどうでもいいけど、この世の終わりと言わんばかりの顔をしていたのだ。あたり一帯を封鎖して、やっとネックレストップを見つけた時の妻たちの反応を考えればな……俺のお願いとはいえ、老ドワーフも関わってたので、下手をしたら老ドワーフが大変に事になった可能性が……
っと、話がそれたな。性能実験が終わり、する事も無くなったので、週の頭からしようと思っていた訓練を開始する。スキルによって覚えた知識で、十分に武器を扱えるようになるのだが、それを体に覚えさせることは大切なので、訓練をしていたが最近できていなかったので改めて訓練をしている。
主要武器の大薙刀を始め、刀、盾、格闘の4種を1時間ずつだがみっちりと行った。専門的に修行を行っている人から見れば、たったそれだけでと思うだろうけどね。俺の目的は、武器の扱いが上手くなる事を考えての物ではない。
生き残るためにどんな手段でも使うという意味でだ。それなら外に出なければいいだけなのだが、だってさ、こんな世界にいたらたまには冒険したいじゃん? だから生き残るための力がほしいんだよ!
矛盾してるのは分かってるけど、実際自分が強くなったらこんなこと考えるもんなんだよ!
っと昼食の時間から大分過ぎてしまっているな。スカーレットにまた怒られるな、ちょっと集中しすぎてしまったな。素直に謝って、ご飯を食べさせてもらおう。ちょっとブルーになりながら、ダンジョン農園にある訓練場から家に向かう。
汗を流してから食堂へ向かい、
「スカーレット、昼食の時間から遅れてすまない。何か食べる物を用意してもらっていいかな?」
「やっと来ましたか」
いつもと違うな、何かあったのかな?
「何かあったのか?」
「いえ、何もありませんよ。連絡もなく、連絡しても反応がなく慌てましたが、マップ先生のおかげで場所が分かり、御呼びに行ったのですが、何やら集中されていましたので、邪魔をするのはよくないと思いまして、勝手な判断で来るまで待つ事にしました。
シャワーに入っているのが分かりましたので、軽めの食事を準備してあります。どうぞ、お食べください」
こういう所はさすがだな。立場上と言うのも変だが、こういう所はしっかりと俺の事をたててくれるんだよな。
俺の事を怒る事はあるが、怒る時は決まって遊んでいるとか趣味に走っている時、後は無茶をしている時などであって、今日は鍛錬と呼んでもいいかな? それに集中してたから、俺の邪魔をしないで戻ったみたいだな。
それにしても、かなりガッツリ動いたから、ガッツリ食べたかったんだが……スカーレットは、おもい物はよくないと判断したようで、タンパク質多めの食事となっていた。
もちろん俺の好きな鶏肉も準備してくれていた、ささみを湯がいてからほぐし、サラダとして提供された。ドレッシングは青じそドレッシングだ。
「ん~もっとガッツリ食べたかった気はしたけど、食べてみるとこのくらいがちょうどよかったな。スカーレットだけじゃなくて、他のみんなも体を気遣ってくれてありがとな」
シルキーとブラウニーは、ガッツポーズをしていた。そしてちょっとくつろごうとしたら、足に何かが当たった。そっと伸ばした足の先を見ると、ダマが疲れた様子でグデーっとしている隣で、見つかっちゃった! みたいなリアクションをスライムの体で表現して、ササっと逃げ出していった。
「ダマどうしたんだ?」
『主殿~ニコ先輩にこき使われていたのです。人使いの荒い先輩ですよ。癒してほしいです』
中庭のソファーに移動して、専用のブラシを取り出してダマの毛をブラッシングする。モフモフしながらのブラッシングなので、俺もかなり癒されていた。いきなりダマがいなくなったと思ったら、ギンがダマのいた所に頭を乗せて俺にもしてくれ! と目で訴えてきた……
しょうがないと思って、ギンをブラッシングしていたら、いつの間にか行列ができており、隣にミリーが座って一緒にブラッシングしていた。ミリーの従魔もいるので一緒にしている感じだな。しばらくすると、年少組と一緒に土木組も中庭に来た。それについてきたウルフたちもゾロゾロと。
中庭でブラッシング大会が始まった。
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