第777話 花火大会開始!

 バザールと綾乃に後をまかせて、妻たちを迎えに行こう。っとその前に、シルキーたちにお願いをして、綾乃の食事を準備してもらうようにお願いした。あいつは、この後特に何をするわけじゃないが、開始時間に遅れないようにあそこに待機する事になるので、今回は食事を運んでもらうようにお願いした。


 俺はシルキーたちにお願いした後、妻たちが集まっている一角に移動する。


「お待たせ! 今日のビンゴ大会などうだった?」


「「「「「あっ! ご主人様だ!」」」」」


 いち早く年少組が声をあげた。


「シュウ君、このビンゴって盛り上がるね! 初め聞いた時は大丈夫かと思いましたが、実際やっている様子を見ていたら、何を心配していたのか分からないほど盛り上がってたよ」


「そうですね。シュウ様が企画したイベントだったので、心配はしていませんでしたが、街の皆様が知らないイベントでしたので大丈夫かと思っていました」


 ミリーが答えた後、ピーチも答えてくれた。でも、その言い方だと、心配してないって言ってるけど、めっちゃ心配してたって事じゃねえか? 知らないイベントを、いきなり街のお祭り最終日に大々的にやるって言われれば、心配もするわな。


「成功した大半は、グリエル・ガリア・ゼニスたちのおかげなんだけどな。ただのゲームとして楽しむ事も出来たけど、それだと祭りにやると確実に失敗していたね。物珍しさはあったかもしれないけどね」


「どういうこと?」


 首をかしげてそう聞いてきたのは、ネルだ。


「今回は、景品がよかったからね。これが無かったら、祭りのイベントとしてやっても成功しなかっただろうね。やる意味を景品と言う分かりやすい物で参加を促して、会場の雰囲気と勢いでやったからね。景品が無ければ、あんな長い時間いたら飽きちゃうでしょ? 景品があっても、飽きてしまった人は何人もいたけどね」


「そういえば、孤児院の子たちも飽きやすいのに、最後までみんないたね? それにルナちゃん、全部あけて景品もらえた事に、すごい喜んでたね!」


「「そういえば、そうだね!」」


 ネルの言葉に、シェリルとイリアが同意の声を上げていた。


「ただの遊びとしてやるなら、縦横5マスの25マスに球80個くらいでやるのがいいね。景品があって、イベントとしてやったからあのマスの数でもできたけど、さすがに普段やるのにあの時間やり続けるのはつらいね。本来なら2~3列ビンゴができるくらいで終わりにするし」


 そうなんだ! と妻たちが頷いていた。


「さて、今日のメインは、ビンゴじゃなくて、この後にある花火大会だからな。みんなには特等席を用意してるよ。今回ばかりは、領主権限みたいなもを使って、みんなを優遇する事にしたからね! 思う存分特等席で楽しめるようにしてるよ」


 このために、城壁の一部を改造しているのだ。終わったら戻すので、知っている人以外はそこが改造されたなんて分からないけどな。


「土木組の子たちは一緒なの?」


「あ~そこは考えてなかったな、みんなはどう思う?」


 こういう風に質問すると、まずは年少組・年中組・年長組・姉御組にわかれて話し合う事が多く、今回もそういう風に分かれて相談している。俺的には身内みたいなものだからどっちでもいいのだが、みんながどう判断するかだな。一番早く結論が出たのが、年少組だ。


「私たちは、みんなと一緒に花火を見たいです!」


 この娘たちは、特に土木組の子と仲がいいからな。そういう結論になると思ってたよ。それからしばらくして、姉御組の結論が出た。


「私たちも、街のために頑張ってくれているあの子たちに、特等席を用意してあげたいかな」


 姉御組は、監督者として行動する事もあったからな。それに、親みたいな視線で見てる雰囲気あるしな。次は年長組の結論が出たようだ。


「私たちは、あの子たちが嫌いと言うわけでは……いえ、好きですが、私たち全員と一緒に見ると、あの子たちが気疲れしないかが心配ですね。特等席があってもいいと思う程に、仕事をこなしてますからね」


 年長組は、自分たちと一緒にいて、あの子たちが楽しめないかもしれないという事を言っており、拒否する感じではない。ちょっと時間がかかったが、年中組は……


「私たちは、どうしていいか分からないです。みんなには楽しんでもらいたい、でもご主人様と私たちだけで居たい気もします。でもでも、のけ者にする気も無いわけで……」


 あの子たちの事は好きだけど、あの子たちと一緒ではなく、俺たちだけがいいような感じの言い方だな。でも、突き放すこともできない感じだな。


「なんとなく言いたいことはわかったよ。じゃぁ、仕切りをつけて行き来できるようにすれば、俺たちも土木組の子たちも移動できるって所にしようか?」


 みんな、俺の意見に頷いているので問題なさそうだ。


「じゃぁ、ネルたちが呼んできてくれるか? 食事はこっちで準備するから大丈夫だけど、自分たちで買った物を食べたいなら、持ってきてもいいって伝えて。場所は塀のあそこらへんね。


 分かんなかったら連絡してくれれば迎えに行くから、よろしく。みんなも、買ってきた物を食べたいなら買い物に行ってきてもいいよ。俺は先に行ってちょっと整備してくるわ」


「シュウ君、私たちも行くわ。屋台の方は混んでるだろうし、私たちが行くと気を使う人たちも出てくると思いますので、準備してもらえるのであれば、それを食べさせてもらおうかと思います」


「そっか、でも準備してあるって言っても、食材だけだよ。今日は、待ち時間も楽しめるようにしているよ」


「食材だけ? 簡単に作れる物って事でしょうか?」


「石窯を準備してあるから、ピザもできるし、バーベキューも出来るようにしてるから、食べながら楽しむ事もできるよ」


「ピザね! 確かにあれなら、自分たちで具材をトッピングできるわね。じゃぁみんないこう!」


 カエデが先頭をあるいて、みんなを誘導していく……きちんとした場所知ってるのか? 案の定分かっていなかったので、テヘヘと言う顔をして俺の方に戻ってきた。


 俺は特等席の調整をして、ピザの材料を取り出せるように小型の収納ケースを机の上に置いた。そうするとみんなが、何を食べるか相談をしながら作り始める。


 少しすると三幼女と土木組が戻ってきた。屋台で買ってきたのは、甘い物ばっかのようだ。食事の時間という事もあり、甘い物には並んでいる人がいなかったから、という理由で買ってきたらしい。


 年少組と土木組が一緒になって、自分たちのピザを作って楽しんでいる姿を見ながら俺は、近くに寄ってきたスライムたちを壁に投げている。体にまとわりついてきて面倒だったので投げたら、何かの遊びと思ったようで、何度もまとわりついてきてこの状態になった。


 そうすると、綾乃の声で花火大会が始まると宣言があり、


 ヒュ~~~……ドガーン!


 腹に響く重低音が鳴り響いた。花火大会開始用に特別に準備した特大花火だ。

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