第774話 最終日のための準備

 お祭り4日目が始まった!


 今日の俺は、する事があるのだ。正直3日間も遊び続ければ、俺は満足なのだ。もともとはインドアな人間なので、個人的には半日でも十分だったのだが、妻たちと一緒にデートをする事も、あまりなかったのでこの機会にしておこうかな? という感じだ。


 そして、俺が今日何をするかと言えば、明日のビンゴ大会の後に、日本伝統の花火を打ち上げる準備だ。本当はビンゴ大会で終わる予定だったのだが、最終日に俺も出し物をしたいと強引に予定をねじ込んだ。


 ビンゴ大会は、縦横7マスの49マスで、真ん中がフリーで誰でもあけていいようになっているあれだ。


 48マスに自分で数字をかいてもらうのだが、抽選に使う球の数、全部で500個、俺の知っているビンゴとは全くの別物で、どれだけの時間がかかるか分からない。


 300個の球が出てくるまでに、列が揃うたびに景品を1個、先着で500人まで5列揃うと特別商品、先着で全部のマスが空いた人10名に、俺たちが使っているのと同等の性能の収納の腕輪を準備している。


 もし収納の腕輪がいらない人にあたってしまった場合は、可能な限りでお願いを聞くという形になる予定だ。冒険者や冒険者を目指している人、商人とかなら収納の腕輪は欲しいかもしれないが、普通の住民には過ぎた品物だからな。


 値段だけで言えば、豪邸が建つレベルの品物なので、家が欲しいと言えば、ディストピアの技術の粋を集めた家を建てても面白いかもしれない。


 っと、ビンゴの事はもうグリエルに任せてあるので問題はないだろう。それより俺は、いや俺たちは! 花火の準備をしないといけないのだ! 何で今日準備するかと言えば、明日忙しくて準備する暇が無いのと、人手はバザールがスケルトンで補ってくれるので大丈夫だ。


 バザールのスケルトンは、頭はよくないが、命令したことは機械のように正確にこなすことができるので、命令を出す際に間違いがなければ、ヒューマンエラーが起こりえない。最強の手足となってくれるだろう。


 ちなみに準備に参加しているのは、俺・バザール・綾乃の元日本人3人組だ。俺が計画して、2人を巻き込む形で準備が始まった。人手の問題があって諦めたのだが、バザールのおかげで目途がつき決行する事になったのだ。


 なんで花火をするかと言えば、DPを見ている時に打ち上げ花火セット、と言うのがあったため、やってみたくなったからという、普通だったらありえない理由だ。


 素人が打ち上げ花火ができるわけない! と思ったが、このセット思っている以上に、自由度が高いシステムだったので、多少パソコンをいじれれば、問題なく打ち上げできるようだ。


 始めに行ったのは、花火を打ち上げるための島作りだ。これは簡単にできる。ダンジョンマスターの力を使って、湖に平らな打ち上げ花火用の土台を準備する。そして打ち上げ花火用のセットの土台を召喚する。


 元の世界ではどうやってあげているかよく知らないけど、DPで召喚された打ち上げ花火の土台は……なんていえば説明がつくかな? ゴルフのカップが均一に隙間なく並んでいる……といった感じだろうか?


 大小さまざまな穴だが、ゴルフカップと違うのは丸の両端? と言っていいのか分からないが、少しでっぱっているのだ。丸い穴の間には隙間があって、その部分にちょこんとでっぱりが入る感じだ。


 この部分は、花火の入った筒を入れる時に合わせて入れて、下まで入ったらクルっと筒を回すとロックがかかり、打ち上げ花火の土台に固定され、管理しているシステムに直結するようになっているのだ。


 これによってコードをつなぐ手間も無くなり、俺でも管理しやすくなっているのだ! それに穴には番号がふってあり、筒の番号と同じものをはめていけば完成だ!


 その筒をはめる作業が大変で諦めかけていたが、バザールのスケルトン指揮能力で、人手に問題がなくなったので、せっせとDPで花火の入った筒を召喚していく。俺の隣では筒に数字を書き込んでいるスケルトンがいる。数字の書かれた筒を穴の場所まで運んで設置するスケルトンの数の方が、10倍は多いけどな。


 筒をはめる作業も物理的に大変なのだが、どういう順番で召喚していくかが、一番頭を悩ました。セットとして売ってはいるのだが、打ち上げる花火の種類や順番は自分で決めなきゃいけなかったのだ。


 同じ種類の物をまとめて召喚して、数字をかいてもらいセットしてもらう。この作業を永遠と5時間ほど続けて、3万発の花火をセットし終えた。1分間に100個のペースでセットしたのか……恐ろしいな。


 後は、3万発の花火の打ち上げるタイミングを、インプットしていくだけだが、これはすでに先に出したシステムに入力してあるので、そのシステムを土台とつなげて、反応があるかを確かめる。打ち上げしないで、筒だけを光らせる事ができるので、ダンマスのスキルを使ってダンジョンの壁と天井で島を覆う。


 チェック用のプログラムに変更して、お腹が空いたので食事をとりながら、光る筒を見ている。


「イルミネーションが次々に光っているようにも見えるな。全部の花火が打ち上げられる状態になっていて接続も問題なさそうだな。それにしても疲れた!


 でも、こんなことで疲れてたら、本業の人にどやされてしまうな。花火師の人たちは、火薬から手作りだもんな。DPで筒入りの花火を召喚する俺たちとは大違いだな」


「問題なさそうでござるね。後、1つ思ったでござるが、ナイアガラはやらないでござるか?」


「あっ! 忘れてたわね! あれも最後にやろう! シュウ、特別な街の準備して!」


 バザールの疑問にいち早く食いついた綾乃が、俺が拒否する前にやる方向へもっていった・・・


「一応、召喚リストで確認してみる。長さは、最低100メートルから、最大5キロメートルか……長いな。召喚できても設置する場所とかどうする? 支柱を何本も立てないといけないよな? 何か良いアイディアとかあるか?」


「ダンマスのスキルで建てるにしても、さすがにそこまで細かくは……難しいでござるな」


「え? 幅30センチメートル位の帯状の直線の島を作って、10メートルおきに穴開けて、30メートル位のアダマンタイトの棒でも召喚してさしてやれば、土台は問題ないでしょ? 後はナイアガラを召喚して、棒の先をクリエイトゴーレムで加工しながら設置すれば解決じゃない?」


「「っ!!!」」


 綾乃は天才か!? この世界には非常識なほど、変形しないアダマンタイトがあるじゃないか! しかも、需要が無い……と言うよりは、加工ができないから買い手がいない不遇の金属だ。その金属を召喚する時にある程度形を指定できるのだから、それを土台にすれば何の問題も無かった!


 ただ重いが、そこらへんは人造ゴーレムの出番だ。Sランクの魔石を魔核に使えるようになったので、出力が段違いに上がっていて、1トンくらいなら楽に持ち上げてしまう。


 そんなこんなで、明日の準備は完成した! 長さ10キロメートルのナイアガラだ! 5キロメートルの物を2個召喚して、左右から点火する形になった。現在の時刻、すでに23時を過ぎていた。妻たちも心配して、10分おき位に連絡が来てるので帰るか。

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