第773話 3日目終了
お祭り3日目のお昼からは、イリア・シェリル・メルフィ・ネルの4人とデートなので、迎えに行く。意外かもしれないが、仕事の無い日はこの4人は一緒にいる事が多い。この4人だけじゃなく、時間が合えば土木組や、孤児院の子たちと一緒にいる事が多いのだ。
今日は4人以外にも土木組のメンバーとも、一緒にデートする事になっているので……なんか小中学生の付き添いの先生の気分だ。
みんなで昼食を食べる事になった。大所帯なので食べるのにも気を使う必要があるな。思い思いの食べ物を買って、俺がオーナーをしている店で食べるか? ブラウニーの店なのだが、全員が屋台に駆り出されているので、店が空いているのでちょうどいいだろう。近くのブラウニーに店を使わせてもらうと伝言をする。
「みんな、食べたい物を買い込んだら、ブラウニーの店に行ってから食べるよ! さぁ買いに行こう」
屋台エリアにみんなが散って行き、戻ってきた時には両手に持ったトレイいっぱいに屋台で買ってきた物を持っていた。どれだけ食べるつもりなんだ?
少なく見積もっても、1人に対して3人前の量はあるぞ。しかも、デザート付き。よく食べても、よく動いてるから問題ないんだろうけどな。食べ過ぎにだけは注意しないとな。
「周りの人に注意して着いてきてくれ」
そうやって声をかけて、みんなを店へ誘導していく。鍵を使って店の中に入ると、ブラウニーの1人が、テーブルやいすを準備してくれていた。
「あ~すまない。突然だったのに、対応してくれてありがとう」
「いえいえ、気にしないでください。私たちは、ご主人様の役に立てる事が嬉しいのです。食事が終わったら食べたものなどは、そのままにしておいてください。後で、私が! 片付けさせていただきますので、よろしくお願いいたします!」
店で食べる準備をしてくれていたブラウニーが、『私が!』と強調した部分をしっかりと理解した。こういう時に自分で片付けてしまうと、後でどれだけ小言と言うか……泣き落しみたいな形で色々言われるのは、身に染みているので読み違えないようにしないとな。
「感謝するよ。忙しいのに悪いね。君がお願いしたように、食べ終わったらそのままにしておくから、後はお願いするよ。みんなも先にお礼を言っておきなさい」
「「「「「「ブラウニーさん! ありがとうございます!!」」」」」」
「気にしないで大丈夫ですよ。自分で片付けようと思わなくていいので、ゆっくりとくつろいでいってください。では、私は屋台の方に戻りますね。あ、出て行く時に鍵だけはかけておいてください。失礼します」
自分の仕事をとられないように、念を押してから行くあたり本気だな。
「さて、席について食事にしようか!」
自分のトレイを机に置いて、椅子に座って準備ができた。
「じゃぁ、いただきます!」
「「「「「「いただきます!」」」」」
慌ただしく昼食が始まった。俺は自分で買いに行っていないので、みんなの分を分けてもらう予定だ。近くにいたシェリルに何かもらおうとして声をかけると、フォークに刺した白身魚のフライのタルタルソース付きを口の前に運んできた。
これは「あーん」で食べろってことか? 人目も無いし気にする必要もないか? シェリルにフライを食べさせてもらう。
「うん、美味いな。さすがはブラウニーが作ってるだけあるな! って、ちょっとみんな待ってくれ! さすがに一度にそんなに食べれないから! 1人ずつな、1人ずつ!」
シェリルに食べさせてもらっている姿を見ていた、他の子たちも「自分も、あーんしたい!」と騒ぎ出したので、順番にしてもらう事にしたのだが……さすがに2巡は俺の胃袋がつらい、ウップ。でも、みんなが満足しているようで、食べたかいがあったな。
俺はそんな事を思いながら、お腹いっぱいになった腹をなで、食事を続けているみんなをながめていた。
食事中にお話とか、行儀が悪いというかもしれないが、小中学校の給食の時や、高校に入ってからお弁当の時間など、わいわい話しながら楽しく食べていた俺は、特に注意することはない。食事は楽しく食べた方が、美味しいと俺は思ってるからね! ドレスコードのある堅苦しい店なんて、ノーサンキューなんだぜ!
みんなと合流してから、1時間30分程過ぎていた。今日は夕食の前まで、この子たちと一緒に祭りをめぐる予定なので、時間は気にする必要なかったな。食事が済んだ子たちから、スライムを呼んでひざの上に載せてプニプニしていた。
そんな様子を見ていたニコが「仕方が無いから、自分の事をプニプニさせてやるよ」と言わんばかりに俺の膝に乗ってきて、無言の圧力で俺にプニプニさせようとしてきた。逆らう意味もないので、俺はニコをプニプニしながら、食後のゆったりとした時間を過ごして、行動を開始する。
「みんな! そろそろお祭りに行こうか! みんなと一緒に行けるのは、今日だけだからな!」
そういう風に声をかけると、くつろいでいた状態から準備を始めた。準備の最中にどこ行くのか決めているか聞いてみると、口をそろえて「昼食の後だからデザートを食べに行く!」と言われた。
まだ食べるのか? 結構な量を食べたはずなんだがな、そんな事を考えているのがバレたのか「甘い物は別腹!」との事だった。
別腹って実際に証明されている現象だからな。別腹と認識するとなのか、甘い物なのか俺は詳しく知らないが、昔テレビでお腹いっぱい食べた後で大好きなデザートを食べる、といった実験があった。
その際に、レントゲンか何かで、胃の様子を観察すると、好物のデザートを認識した瞬間に胃が活発に動き胃の上部に空間ができたのだ。それが別腹という現象だという事らしい……この子たちもそうなのだろうか?
14時くらいか、2時間ほどいろんなスイーツを食べ歩いた。さすがに俺は食べれなかったけど、ちびっ子はちょっとずつだが、いろんな物をみんなで食べさせあいをしていた。なんかよくわからんがニコが肩に乗ってきてドンマイと言っていた気がした。
デザートを食べ終わると、初日にもいったゲームエリアに足を運び、体を動かしまくっていた。あれだけ食べてよく動けるな、と感心してしまった。みんなで競い合って、点数の良かったメンバーが頭をなでてもらうご褒美という事になり、白熱した様子が見れた。そんなことしなくても頭位なでるのにな。
こんな感じでお祭り3日目が過ぎていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます