第320話 斥候部隊を解き放つ
今日の朝食は、昨日作りすぎた中華料理の残りを温めなおして食べている。餃子・肉まん・シュウマイ・小籠包は大量に作っていたので、朝食べても食べきれなかった。朝から重たいかなと思ったけど、よく考えたらいつもの朝食のビュッフェに、揚げ物やステーキなども大量にあるから今更だよな。
「さて、昨日の計画を実行していこう。カメラは人間を想定して作られたものだし、言葉を理解できる知能もないといけないから第一候補は亜人系の魔物だと思うんだけどどうかな?」
「シュウの言うとおりね、ところで亜人で一番強いのってまだ鬼人族なの?」
「ん~そうだね、Aランクの亜人は今の所いない感じだな。魔物の鬼人族とハーフの鬼人と紛らわしいな。くそ聖国の人間どもめ! 今言ってもしょうがないな。確か少しLvあげると人間と見分け付かないし、言葉をしゃべるようになるから決定かな? というかこいつら以外選択肢がない気がする」
「もう一つ候補になるものがあるわよ。DPというより手間がかかる、人造ゴーレムでもイケると思いますよ」
そういえば、作ったまま放置して見に行こうと思って放置してたゴーレムがいたな。何日くらい放置してんだっけ? 今でも武術のビデオ見続けてんのかな?
「こっちの命令は聞けるけど応用が利かなそうだから無しかな。となるとやっぱり鬼人族しか選択肢はないか。二匹一組で十組ぐらい準備するか。ポチポチポチっとな!」
ダンマスのスキルを使用して二十匹の鬼人族を呼び出す。職業などはランダムにして召喚をしてみると、前衛系が多く召喚された。男女は半々で生まれている。ゴブリンやオークみたいにメスの方が一ランク高いとか言う事もなく同じ強さだった。
冒険者っぽい装備を渡して、通信機などをカモフラージュしてバックに忍び込ませる。
カメラもDPで魔改造して召喚している。店で売っているファミリー向けのビデオカメラといえばいいのだろうか? あのカメラがスタジオやテレビ局にあるカメラ位に高性能になってしまっている。簡単に持ち運びできるカメラが、その性能っていうのは無駄にすごいな。
「うーん、ワイバーン皮の鎧はやりすぎたか? まぁいっか誤差の範囲という事にしておこう。よっし女はカメラをもって、男たちはこのリュックを背負え」
精霊たちと同じで、俺の知識をある程度引き継いでって召喚するの精霊たちでもよかったか? いやいや、精霊たちだと応用はきくだろうけど、もし人間がいたらめんどくさい事になるからこれでよかったかな。
「まぁ見た目はカメラ以外は冒険者っぽいな。カメラもカモフラージュしないと違和感がありすぎて変だな。籠手の一部っぽくするために、ガントレットをつけさせてちょっと色を変えれば、今よりはましになるだろう。後、冒険者として見せるなら女にもリュック背負わせたほうがいいな」
俺が指示を出していると、回りでは妻たちが俺が言ったものを準備したり、カモフラージュを行っている。全員に籠手を着けてもらうが、メインの武器は各職業に合わせて武器を準備しておこうか、苦手な武器ではいざという時に不利になるかもしれないので、ここは上質なものを準備した。
「みんな、どう?」
「そうですね。冒険者っぽいけど何か足りないような気がしますね」
「ご主人様! マント装備してもらおうよ、マント!」
年少組からマントコールが起こった。まて、マントコールってなんだよ!
「マントですか? 悪くないですね、ダンジョンに入る冒険者はつけませんが、フィールドを中心に活動している冒険者はつけている人が多かった気がします。
確か、フェンリルを倒した時にいた三人のシングル冒険者もマントをつけていた気がしますし、いい案かもしれないですね。ご主人様、通信機などはかなりコンパクトなので、リュックではなくウェストポーチにして、他の荷物は収納の腕輪にとかはだめですか?」
「ん? いいんじゃないか? 見た目も大事だからな、ただマントは少しくたびれた感じにしておきたいな。新品みたいなのだと、旅の冒険者には見えないからな」
全員が全員、変なこだわりを持って鬼人族たちをコーディネイトしていくので、着せ替えさせられている鬼人たちが若干引きつり顔になっている。
魔物も知能が高くなると、精霊みたいに表情が豊かになるんだな。ってハクやクロやギンも表情豊かだったな。
俺は動物を飼ったことなかったから知らなかったけど、意外に表情が豊かなんだよな。ディストピアの家で飼ってる猫なんかは、表情見れば何となく考えてることが分かるくらいには、見分けられるようになってきた。
いろいろ考えているとコーディネイトが終わったようだ。
「うん。若干違和感はあるけど、それはカメラとかを知ってるから感じるものな気がするから、これ以上気にしてもしょうがないな。
移動手段としてウォーホースを召喚しといたから活用してくれ、Lvも上げてあるし二人乗りしたところで、大差ないくらいには強化してあるから、偵察のほうよろしく頼む。お前らの上司はスプリガンのみんなになるから、基本的にはそっちの指示を聞くように」
鬼人族たちに指示を出すと一糸乱れぬ動きで敬礼をしてきた。誰だこんなこと教えたのは、回りを見ていると視線をそらした妻が……シェリル・イリア・ネルを除いた年少組の六人だった。お前ら、いつの間に教えたんだよ!
幻痛で頭が痛く感じた。なんで幻痛とわかるかといえば、顔をそむける年少組の様子を見て感じたものだからだ。こめかみをもみながら
「まぁいいや、別に行動に支障が出るわけでもないし気にしたら負けだよな。一応初めの命令を出しておく、マップ先生で発見している街がいくつかあるのはわかっているよな?
まずはそこに行って街の中を調べてきてくれ、町に着いたらカメラと通信機をつなげて常時録画して映像を飛ばしておいてくれ、報告はスプリガンにあげておくように! じゃぁ解散!」
俺の声に合わせて鬼人たちが散っていく。それにしてもスプリガンの皆様には、仕事がどんどん増えていくな。もう少し人員追加しておかないとまずいかな? ディストピアに戻ったら本人達に聞いてみよう。じゃぁ帰る準備するかな!
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