第237話 チビ神また覗いてる
奴隷兵もどきとの戦闘といっていいのだろうか? 圧倒的勝利で幕を閉じた。
どんな状況か説明していく。
初めは一〇〇メートル程の深い穴を掘る予定だったが、予定を変更して四十メートル程にしたのだ。理由は簡単、穴の底にいてもタンクのスキル、チェインで引き寄せることができるからだ。
接敵する前に奴隷兵もどきを穴の下に落として、すぐに穴の淵まで寄ってターゲットのみを引きずり出して、すぐにスライムから石と岩を放り込んで、ライムの水魔法で穴に水を満たして四十五人はそのまま死亡。
引き寄せられた五人は傍に待機していた他のメンバーによってすぐに無力化され、ツィード君特製の奴隷の首輪を着用して終了。
五人の無力化された方法は、腹を思いっきり殴られ悶絶したり、その場に倒され関節を外されたりしていた。リーダー格と思わしき人物だけは、シュリに抑えられて無防備になったところに、シェリルの浸透勁をうたれて吐血して瀕死になっていた。
バツの悪そうに吹けない口笛を吹いてごまかそうとしていた。この世界にもそういったごまかそうとする方法があるのだろうか? 漫画やアニメで得た知識かな?
瀕死になったリーダー格は、奴隷の首輪をつけた後にピーチに治療されてしゃべるのには問題がなくなった。
で、得られた情報といえば、王国と同じで教皇直属の特殊部隊だった。奴隷ではなく聖国に仕える騎士の上位陣の内、教義を疑わず職務を忠実に遂行できる人間を集めて、首都にある秘密のダンジョンで修行を重ねて、教皇の指示に従って任務を遂行している部隊の様だ。
本人たちは正義のためにと言ってはいるが……話を聞けば聞くほど、ただの暗殺部隊で虐殺部隊としか言えない内容だった。
今回派遣されたのは、もちろん俺たちに対するジョーカーとして、暗殺を実行する予定だったらしい。自分勝手な考えで俺たちの街を奪おうとしていることを指摘しても、神の御意思だ街を明け渡せの一点張りだった。
奴隷の首輪の命令を、逃げるな、嘘をつくな、自分を含め人を害すなとしているので、本当の事しか言っていないのだろう。本当に自分たちが正しいと思っているんだろうな。マジで迷惑な連中だ。
情報は聞きだしたので生かしておく必要もない。仲間と同じ穴の中で眠っていただいた。最後までごちゃごちゃ言っていたが、無視して生き埋めにした。俺から最後の慈悲として仲間と同じ死に方だ。同じ地獄に行ける事をチビ神様に祈っておこう。
『私に祈っても関係ないんですけど?』
また心の声をを聴かれてしまった。最近ちょっと現れる回数多くないっすか?
『最近は、この世界が貴方のおかげでホットなのよ。だから覗く時間が増えてるのよ! 連れてきた私も鼻が高いのよ! 何度も言うけど、連れてきた私も鼻が高いのよ!』
大事な事だから二度いいました的なあれか? それにしてもこの世界ってことは、他の世界もあるんだよな? 俺みたいな哀れな人間が大勢いるってことか……可愛そうに。
『そうね~数えた事ないから正確な数はわからないけど、多分一万は越えているでしょうね。まぁどこの世界も同じような感じでいまいち面白みがないけど、たまにあんたみたいな面白い人間が出てくるから召喚をやめられないのよね! 作った世界の人間を勇者やダンマスにしても面白くないのよ、特にあなたの世界、地球の日本人は面白い人間が多いのよね~』
いい迷惑だな~何人位連れてこられたか知らないけど、存在自体を消せるんだから地球の人たちは誰も気付くことはできないんだろうな。実は、この神たちの所為で少子高齢化が進んでる? なんつって。
まぁ俺はみんなに会えて、地球にいた時より快適な生活をできているし、DPで地球の物も召喚できるし、何より働かなくてもDPが腐るほど入ってくるんだ。おそらく地球の石油王より稼ぎはいいのではないだろうか? ダンマスのスキルをくれた事だけは本当にチビ神に感謝だな。
『純粋じゃないけど、あんたから感謝されるのはいいね! あなたは歴代で最高の一日の稼ぎをたたき出しているでしょうね。まだダンジョンマスターになってから日が浅いから、総獲得DPは上には上がいるけど、ここまで一日に稼ぐなんて前代未聞だからね。
何よりダンジョンで稼がないなんて、常識外れもいいとこよ! ちなみにあなた以降に呼び出される人たちはスキルが調整されて、地上はどんなにエリア掌握してもDPが稼げなくなったわよ。ただ建物タイプのダンジョンだけは地上でも稼げるけどね』
やっぱり一日の稼ぎは歴代最高なんだ。まぁ他の世界の人口は知らないから、それ次第なんだろうけど。人口が多ければダンジョンに入る数だって増えるだろうしな。
それよりさ、それだとエリア掌握して建物もダンジョンとして掌握しちゃえば、俺とたいして変わらない事になるぞ? それでもいいのか? おそらくそこまで説明したら気付く奴が出てくるぞ。
『あんた頭いいわね。初めてここに来た時は、知性の欠片もなかったのに。それなら大丈夫よ、他の神に頭のいいのがいて、同じ問題を出してくれたから対策をとっているのよ』
てっきり娯楽だけにかまけていると思ってたよ。中には頭の良い奴がいるんだな。その割には、俺のDPの稼ぎ方を止められなかったけどな。
って急にお前が入ってくるから話がそれちゃったじゃないか! 必要な情報は得て諸悪の根源はやはり教皇みたいなので、どうやって
正直今回の作戦のおかげで、大軍に対する攻略も簡単なのを思いついたんだ。何せ穴を掘って落としてしまえば、兵糧攻めで勝てるんだからな。ついでに水攻めを、DPで海水にしてやれば資材や食料にダメージを与えられる。
今回穴を掘って分かったがダンマスのスキルで掘ったらエレベーターで降りるようなスピードで地面が下がっていたのだ。正直これに対抗できるのは、シングル以上の冒険者だろうな。それでも全員対応ができるわけじゃないと思う。
おそらくステータスによる身体能力の上に、状況判断が共なわないと脱出は不可能だろう。
なんか大軍に対する戦略が確立できたから、一気にやる気が削がれちまったな。みんなに話したら、戦わないで済むのであればそれでいいのでは? という考えらしい。戦闘狂の娘もいたからちょっと心配だったが、どうやらそうではなかったらしい。
大軍に問題がなくなったので、早く軍に来てもらいたかったが俺たちの遅滞攻撃で未だに足踏みしている部隊もあるからな。
「とりあえず相手を指定された平野で待ってようか? マップ先生で検索してれば不意を突かれることはほとんどないだろうし、優雅に待っててあげよう」
俺がそういうと、移動準備をテキパキと始め天幕を建てる位置を検討し始めていた。数分で出発準備も整い予定地へ移動を開始する。
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