第84話 作ったダンジョンの攻略

「今日みんなに集まってもらったのは、新しいダンジョンINダンジョンが完成しました! 拍手!」


 パチパチパチ


 みんなごめん、ノリで拍手してもらったのに付き合ってくれて、


「冗談は置いといて。みんなに案を出してもらいながらよさそうなものを選んで配置した攻略用ダンジョンが完成しました。そこでみんなには、攻略用ダンジョンに潜ってもらいたいと思います。配置している魔物はEからBランクの魔物だ。


 Aランクに近い実力のある君たちになら、問題なくクリアできると思う。アトラクションと思ってチャレンジしてもらいたい。ただ、そこそこの大きさのダンジョンなので、探索に結構時間がかかると思います。今からしっかり準備してから、攻略を開始するように!」


「ご主人様、一つ質問いいですか? 攻略するのはいいのですが、全員でいくのですか?」


「そっか、みんなにはまだ説明してなかったね、同じ魔物を配置した違う部屋割りのダンジョンを三つ用意していたんだよ。みんなに競ってもらおうかと思ってね、年長組・年中組のみんなは、獣道の森のリベンジマッチになるんだぞ!


 今回もご褒美を出すつもりだ。それとこの攻略はダンジョンの性能評価だから、しっかりと見極めてほしいんだよね。ちなみに罠は全く配置してない、純粋に魔物だけで構成されたダンジョンだから、罠におびえる心配はないよ」


 娘たちは、ご褒美という言葉を聞くと体をピクリと震わせた。その後の性能評価・見極めてほしいという言葉を聞くと、ご褒美と聞いた時のだらしがない顔から一転厳しい顔つきになっていた。どういう心境だろう?


 俺もご褒美と聞けば色々想像して、にやける気持ちはわからなくもないけど、その後の言葉でキリッとした顔になるのかはよくわからなかった。仕事だと思ったのかな? ワーカホリックにはならないでくれよ。


 などと、シュウは見当はずれの事を考えていた。娘たちはシュウからの仕事を依頼されたことにより、何によりも優先してこなさなければならないものとして認識したのだ。


 俺が変な思考にとらわれている間に、娘たちが準備をするために部屋へと戻り、武器・防具・食料その他諸々の準備を始めておいた。


 今回は娘たちだけである。俺・カエデ・レイリーは観戦者だ。ん? なぜ観戦者かって、それは今回ダンジョンを作っている際に気付いたのだが、この世界のダンジョンには三つのタイプが存在している。


 洞窟タイプ・建物タイプ・フィールドタイプの三タイプだ。そのうち洞窟と建物タイプのダンジョンは、観察モードというものがあったのだ。


 なぜ今まで気付けなかったかという疑問も同時に浮かんだが、洞窟タイプで作っていたと思っていたダンジョン農園はフィールドタイプのダンジョンであったため、観察モードの適用外だったようだ。


 少し試してわかったことだが、洞窟タイプでも一定以上の広さの空間を持つ部屋があると、フィールドタイプと認識されてしまうようだったのだ。


 それはさておき、観察モードがあるので娘たちを戦わせて、実践側からの意見と第三者からの意見を合わせて、ダンジョンを評価してみようと思ったのだ。


 色々考えていると、準備の終わった娘たちが食堂に集まってきた。


 食堂に集まった娘たちは、シルキーたちから食料と調理道具を受け取っていた。全員が収納の腕輪を持っているが、今回はどのくらいで攻略できるか解らないので、食料を別に持っていけるように収納のカバンを支給してある。


 俺が驚くほど大量の食材と、調理済みの食料をそのかばんに詰めていたのだ。パッと見た感じ八人パーティーの一ヶ月分はあるんじゃないだろうか。年長組にかんしては、半年分くらいありそうだった。シュリがいるから、かなりの量だった。


 ダンジョン攻略ってそんなに時間がかかるのか? 性能評価実験で二十階層のダンジョンを作ったが間違っていただろうか?


 今回の評価項目の一つにダンジョン内の魔物の連携をいれていたため、一階層毎に魔物の種類とタイプ変えてあり、各部屋に魔物パーティーの構成を少しずついじって配置している。


 戦略ゲームもたしなんでいた俺としては、駒(魔物)の配置や相性も考えて色々いじくりたくなってしまい、悪乗りしてやってしまったところもある。反省も後悔もしてない!


 そういえば、このダンジョンを作っていて他にも気付いたことがある。


 召喚できる魔物が偏っていることだ。召喚ができるランクではなく、召喚できるランク内の魔物の数が全然違うのだ。魔物の種類にばらつきがあるって、当たり前だとかおもってるだろ? そういう事じゃないんだよ!


 だってこの召喚リスト見ろよ! 亜人のタブには、ゴブリンだけでも何匹いるか分からんほどたくさんの名前があるのだ。これとか見てみろよ! ゴブリンファーマーってなんだよ! 他にもゴブリンウィッチだぞ? ゴブリンの魔女、ゴブリンにメスだけの職業があることにビックリだよ!


 これってホモークと一緒で、男が捕まったらまずい状況になるのだろう? ここで耳よりな情報だが、召喚するときにオスとメスを選べるのだが、メスを召喚しようとするとランクが強制的に1ランク上になる。この法則はオークにも適用されていた。


 職業が付くと強化種になって一ランク強くなるのだが、ファーマーとか生産系の職業は種族として登録されているでランクは変わらないのだ。ゴブリンファーマーでナイトを選ぶと、ゴブリンナイトファーマーという訳の分からん名前になる。


 他にも、獣系の魔物の数も多いのだ。ウルフ系でいえば毛皮の色違いで、ウルフレッド・ウルフブルー・ウルフグリーン・ウルフパープルは知っていたが、気付いたら二十色くらいのウルフが出てたのだ。何だよこのカラフルな狼たちは、戦隊を何個作るつもりなんだ? ってラインナップなんだよな。


 これだけ言えば何となくわかると思うが、倒した魔物の種類によって増えている気がするのだ。ただ疑問なのが、アンデッドが亜人系のタブに含まれているのがよくわからない。だけどそのおかげで駒の相性を色々試せるってもんなんだがな。


 アンデッドで思い出したけど、すごい矛盾する存在がいて笑ったな。アンデッドプリーストっていう、存在自体が真っ向勝負してるやつがいたんだよな。面白半分で召喚してさらに爆笑したのは記憶に新しい。


 アンデッドのパーティーを作ってみてそいつらを戦わせてみたんだが、前衛を務めるスケルトンがたがいにダメージを負ったら光魔法の回復呪文をつかったわけで、そうしたら前衛のスケルトンがダメージをくらってな、仲間にボコボコに攻撃されてたわけだ。


 その諸悪の根源的な扱いをされたアンデッドプリーストが消滅すると、敵だったパーティーが比喩的な意味になるが、手を取り合って合流したもんだから笑った笑った。


 おっと、回想している間に娘たちが入るダンジョンを決めて突入するようだ。


「じゃぁ俺たちは、今日のダンジョン探索を観戦するために、俺の趣味部屋に作った観戦室へ行こう! スカーレット、しばらく食事はそっちでとるから、そこまで運んでもらっていいかな?」


「了解であります! 今日のお食事のリクエストはありますか?」


「俺は、お米をがっつりと食べたいな」


「あ、私はお酒のおつまみみたいなのがほしいわ。レイリー付き合ってね」


「では自分は、焼き鳥や串揚げ等を食べたいですが、よろしいですか?」


「みなさん了解であります! しばらく観戦することになるみたいなので、多めに準備していつでもつまめるようにしておきます」


「たすかる。後、シルキーたちも料理を作ってくれる時以外は、一緒に観戦してほしいな。色んな意見がほしいから四大精霊も呼ぶかな」

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