坊ちゃん
名古屋から岡山まで新幹線に乗って岡山から特急しおかぜに乗ると愛媛県松山市まで運んでくれるわけだが、道中、名物のタコ飯を食べながら長閑な風景を見るは大変に風情があり情緒深いこと請け合いなのである。
揺れて気持ち悪くなるけど。
空港からボンバルディアで松山市空港まで飛ぶのもいいけれど旅を感じたいなら陸路かな。岡山で一泊すれば倉敷や後楽園の観光もできるし割とオススメ。駅前にある桃太郎像は笑えるから是非見てほしい。
で、愛媛なんだけどここがまたええんよ。気候もいいし街は適度に賑わってるし。全然飽きない。松山城を中心に市街地があって、ちょっと離れると道後温泉がある。温泉街はカフェも多くて見て回るのが楽しいんだ。ご飯も美味しいし住民の人当たりもいい。老後に移住するのもありかなってくらい素敵な街だよ愛媛。
しかし夏目漱石の坊ちゃんではそんな愛媛が悪し様に書かれている。作中、最初から最後まで悪口しか書いてない。よくそこまで書けるなってくらい酷い扱い。まぁそれが笑えるんだけどね。話も面白いし読みやすいし基礎教養にもなるから未読の人は読んでもいいやもしれない。
坊ちゃん。
生まれついての無鉄砲である主人公が何やかんやで愛媛の学校に赴任してきて色々する。
学校では生徒から嫌がらせを受け、「これだから田舎者は」と悪態をつくもそれはまだ我慢できていた。我慢ならなかったのは教員仲間である赤シャツとその腰巾着の野だいこである。二人は卑しく卑怯なため坊ちゃんと同僚の山嵐から毛嫌いされており、同じく同僚のうらなりと婚約していたマドンナを簒奪した事も怒りの要因だった。そんな赤シャツに対し坊ちゃんは鉄拳による制裁を加えることを決意する。
あらすじみるとスゲー面白いな。
いや、実際読んでも面白いんだけど、大衆向けとしてちゃんとできあがってるし、読めばクスリとくるし、漱石のゆったりとして格式高い文体も損なわれてないしでとにかく凄い。キャラクターのコミカルさが際立っていて下手な漫画より立ってる。文章だけでここまで人物描写できるのは凄いよ。ラノベ書けんじゃねーのってくらいに作り込みと書き込みが上手い。漱石がラノベ書いたら面白そうだな。坊ちゃんだったら、僻地に赴任してみたらどいつもこいつも田舎くさい恥知らずのため鉄拳制裁を加えたいと思う。みたいな。あ、駄目っぽいなこれだと。
まぁラノベはいいとしてとにかく面白く気軽に読めるんだけど、前述の通り愛媛をめっちゃディスってんだよねこの作品。陰湿な田舎者はデリカシー皆無で人の欠点を嘲笑するのが唯一の娯楽である。みたいな感じの事がひたすら書いてある。温泉は褒めてたけど。
でもここまで書かれてるのに愛媛は坊ちゃん推しなんだよね。路面電車の特別車両に坊ちゃん列車とか名付けちゃうしスタジアムの名前は坊ちゃんスタジアムだし至る所に坊ちゃん由来の屋号がついた店があるし。
まぁたしかに舞台になったし主張したいのも分かるけども、プライドっちゅうもんはないのかって酒飲みながら思っていた。あ、地ビールもあって美味しかったよ。見てる分には面白いし、全然ありなんだけどね。
ともかく、旅行する分には本当にいいとこだったよ愛媛。また行ってみたいなぁ。
一人旅行だと坊ちゃんというより、ボッチちゃんだな。
いいんだよ旅行は一人で。好きなとこ巡れるから。
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