痴人の愛
破廉恥っていいよね。
そも人間なんてのは動物なわけで、腹が減れば飯を食うし眠くなれば寝る。雌、雄を求めれば頑張るのである。
とはいえ誰も彼もが番になれるわけではない。世の中には当然あぶれ者が出る。残念だけどしょうがないんだってやつ。
それが嫌だから皆努力するんだろう。ファッションに気をつかったりスタイルを維持しようとしたりと方法は様々。なんとも涙ぐましい話だ。
また、世の中にはそんなもの関係ないと、当たって砕ける事上等で、ありのままの自分をむき出しがむしゃらに声を掛けたりするような人もいる。これが思いの外馬鹿にできず、結構うまくいったりするらしい。基本はやはりコミュニケーション。何が何でも繋がりを持つというのは大切な事だ。
が、そうして繋がったとしても関係が上手く続かないなんて事もやはり多くあるようで、男女の仲になったけど、なにかしっくりこず離別したとか、他にいいい人ができてしまったというような話をどの時代でも聞く。マッチングというのは、それなりに大変なようだ。
そんな中で、どれだけ合わなくとも、自分に振り向いてくれなくとも、好きになった人間と一緒にいたいと願い、そのためならどうなってもいいと考える者も少なからずいるのである。谷崎潤一郎の書いた痴人の愛は、そんな話のように思う。
痴人の愛。
主人公の河合は真面目な男で浮いた噂の一つもなかった。
しかし結婚に対する憧れが強く、また特殊だった。若い娘を育てて作法を叩き込み、成長して互いが好き合っていたら結婚をしたいという倒錯的な夢を抱いていた。
そんな河合はカフェで出会ったナオミを気に入り口説く。結果はOK。二人は共に、ままごとのような生活を送るようになる。
しかしある日ナオミが不貞を働いている事が発覚。河合は嫉妬に狂いナオミを軟禁。それでも彼女は乱れ続けたため、ついには追い出してしまうのだが……
昔、ナオミズムという言葉があったそうだが、由来がこの作品であるらしい。
なんでも新時代的な女を指して使うものだったそうだが、なるほど納得である。
ざっと書くとナオミはとんでもない女に感じるが、俺はあのキャラクター性にけっこう惹かれたりする。自由だし強かだし、おまけに精神的が鋼。男達の間で酷いあだ名をつけられていたそうだけれども、多分本人は気にしないと思う。それくらい自由奔放で傍若無人。まじかっこいい。
対して主人公の河合は少し軟弱な上に女々しい。独善的だしくよくよ悩むし、おまけにフェチズム拗らせてるし。お~? お主少々異常ではござらぬか~? と思える程になんか変な感じ。まぁ小市民的な人物として描かれているんで仕方ないといえば仕方ない。好きな女があぁいう感じになって、しかもあんな風に言われていたらと思うと、確かに心穏やかじゃないよなぁという共感はあるし、嫉妬に狂う気持ちも理解できるるんだけど、ちょっとね。まぁそれも含めて破廉恥な人物のように感じるわけだけども。
でも俺は思うんだ。女も男も、やっぱり自分のために生きなきゃいけないなって。
そういう意味ではナオミも河合も、最後納得しながら生活していて、あぁ、こういう関係もアリなんだなぁとしみじみとした。はたから見れば信じられないんだろうけど、当人同士が良ければそれでいいような気もする。幸せは相対的なものなのだから、口を挟む余地はない。
人生恋愛ばかりじゃないけど、恋愛のための人生ってのも、ありかな。
俺は御免だけど。
そうそう。
全然関係ないんだけど、余談も余談なんだけど、これ書いてる時めっちゃ眠かった。やる気がなにひとつ湧いてこない状態。いっそ書かずに寝ちゃおうかって思ったけど書いてる。書くのが楽しいから書いてる。これは現実逃避かもしれない。俺にとってのナオミは創作なのかもしれない。なるほど、河合はこういう心境だったか。
今度から身体がやばいけど趣味とか目標に走る状態の事をシラカワツィズムって呼んでいいよ。ところで俺は何を書いているんだ今。全然分からん。
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