愛の渇き

愛という感情は人を惑わすものである。


なとど三流漫画のボスみたいな台詞を書いてしまったが、正負のべつ幕無しに感情が焦がれていく苦しさといったらないだろう。好きだとか嫌いだとか好きでいてほしいとか記憶から消したいとか、一恋齧るだけで情緒がえらい事になるよね。それをリビドーによるものとするかプラトニックであるが故とするか、考える人によっては見方は違うけど(僕は後者です。愛は地球を救いますのでね)。



そんな愛をテーマにしたのが三島由紀夫の愛の渇きである。

愛とか恋とかっていうのは述べるまでもなく普遍的なテーマで、ギリシャ神話とかにもコロニスとかダフネとかの話があるくらいなものだし、そりゃ誰もが一回くらい書くよねってなるけど、同作はどちらかというと恋愛に伴う独占欲について強く考えさせられる内容になっているような気がする。





愛の渇き。

夫を亡くした主人公の悦子は義父の家に住んでいた。

義父とは肉体関係があったが(ウキペディア調べだけど読んだ当時は一線は超えてなかったみたいな描写があったような気がするので今度読み直したい。今度今度っていってるけど全然訪れねーなその今度って時はよぉ)、彼女の感心は仕様人の若い男にあった。

悦子は男にずっと恋心を燃やしていたのだが、男は同じく使用人である若い女と関係を持っており……




閉塞された集団の中での色恋沙汰。産まれる修羅場と淀む空気。考えるだけで吐きそうだ。使用人の女は悦子に対して直接的ではないにしろ男へのセコムを発動してくる。そりゃそうだ。元から付き合ってたのはこいつなんだもん。それをいきなりやってきてかき乱すんだから敵認定もされるよね。しかも立場的に文句も言えないし。大変だったと思うよ。記憶の中ではあんまりいい書き方されてなかったと思うけど。

あとこれ書いていて思ったけど義父がクズいな。昔の金持ちってこんなもんなの? いや、性的なものに対してタブーがなかっただけかな? 知らんけど。


ともかくとして悦子は色々悩むんだけど、その中で生前の夫との記憶が描写される。

夫は浮気しまくりで悦子の精神はやばかったんだけど、チフスにかかって入院、死亡する。


甲斐甲斐しく看病する中で、悦子は初めて夫を独占できたと考えるようになる。これまで満たされなかった愛が潤っていく瞬間。悦子にとってみれば脳汁ドバドバの幸福絶頂だっただろう。介護は死ぬ程大変だっただろうけどね。


で、それがなくなって、半ば自棄のような感じで義父の所にくるんだけど、結局そこでも満たされない心を持て余し、愛に渇くという感じ。なんというか、やるせない話だ。


同作品には潮騒のような幸せな愛もなければ金閣寺のようなカタルシスもない。ただただドロドロとした愛憎が淡々と表現され、後味悪く終わる陰鬱な作品。でも、恋愛って綺麗事ばかりじゃないよね。時には誰かが悲しむし、結果として破滅する事もある。幸せ! LOVE! だけでは終わらないのが現実。だからこそ人生恋愛だけじゃないぞってのを知らないといけないんだけど、やっぱり血に刻まれた情動は制御のしようがない。業が深いね人類。それに、人間の感情は興味深く面白いんだ。そりゃゴシップ紙が消えないわけだよ。ハローセンテンススプリング。醜聞は楽しいなぁ。






芸能人のゴシップ気にしてる暇があったら就活情報集めないとな……このまま仕事続けてたら絶対朽ち果てるし、何なら切られてマジの渇きが訪れる可能性もある。なんとかせねば……あぁなんだこの人生。死にたい。


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