ジーキル博士とハイド氏
二面性なんてものは大なり小なり、多かれ少なかれ、万人に見られるものだろう。
基本的に俺はクズでゲスな部類だが会社においてはホスピタリティ溢れる人物として通っているし女性に対してはジェントルとして振る舞っている。他にも上司には真面目な働き者な体を装っているし部下には寛大で物わかりの良いリーダーとしての役割を演じているわけで、二面どころか五面六面とコロコロ顔を変えて生活している状態だ。しかし、社会的パーソナリティというのはどうしたって必要になってくるし、それ自体は別に悪い事ではないだろう。ルールとマナーとに則した言動は対人関係において絶対的に必要なのである(もっとも俺は完璧ではなく度々内面に潜めている最低の人格を看破されがちなのだが)。例え、心の内で何を思っていたとしても。
ジーキル博士とハイド氏は、そういった二面性を描いた作品となっている。
同作はハイドの悪行から始まり、ジーキル博士とアンダーソン弁護士の会話により物語が進展していく。
まぁ結果だけをいえばジーキル博士とハイド氏は同一人物。背徳的欲求を満たすために、ジーキル博士は自ら開発した薬を飲んで狂暴な人格であるハイドを表に出したという設定だ。この変はFGOとかでも明らかになってるし最近のオタクは多分皆知ってるんじゃないだろうか。いや、昔のオタクも知ってるか。題材になりやすいし。
この作品、どっちかっていうとエンタメ寄りな気がしてあんまり肌に合わなかったんだけど、本国イギリスではどういう評価なんだろうね。内に潜むもう一人の自分っていうテーマは大好物なんだけども。
先にも書いたんだけど、多分多くの人間ってTPOに応じた人格を使い分けているだろうし、一人の時は想像もつかないような行為をしていたり、心の内でとんでもない事思っていたりするだろう。そうした普遍的でありながらも余り触れられなかったであろう事象をテーマにしたっていう点は素晴らしいんだけど、救いもなく、ただただ暴走するだけで幕を閉じるっていう終わり方は少し悲しい気がするな。
でも内なる自分って多分誰も受け入れてくれないから、自分自身で否定してしまったら確かにもう救いはないかもしれない。自己否定したい人間が自分の中にいるなんて、それはもう最悪だろう。とうしようもないな。
……もし俺が人格を分ける薬を飲んだら、どんな最悪な行動をとるんだろうか。
うーん考えたくもない。考えたくもないが、多分、きっと、やっちゃえば、スッキリするだろうなぁ……
いかん。逸脱しては駄目だ。これからも善い人として生きていきますので皆様よろしくお願い致します。かしこ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます