グレート・ギャツビー
ノルウェーの森は好きじゃない。
村上春樹の評価は最初にノルウェーの森を読むかどうかによるみたいな話を見た記憶がある。俺はまさしくノル森口からの入門だ。
従って、作中に何度も出てくるグレートギャッツビーも毛嫌いしていた。どうせスカした文章なんだろうと思い長く触れなかったのだが、ある日ふと友人の言葉を思い出し読んでみようと決意する。
曰く、厭世観がいいんだよ。
初読は挫折した。
翻訳が悪いんじゃねーねーかと思うほど読みにくい文章。アメリカにも興味がなく、また、ギャッツビーの正体もそれほど気にはならなかったため断念。本棚にしばし眠る。
漬けて数年。再度手に取る。
老人と海を読み、アメリカ文学も捨てたもんじゃねぇなと踏ん切り最初から目を通す。やはり理解に時間を要す。
一変、中盤。物語が動くと目が離せなくなり、登場人物が抱えるしがらみや心境。そこから生じる人間模様に心動かされていく。
恋慕、情、思い出。様々な葛藤を考えると、各々のセリフや言動が生きて動き、俺を夢中にさせるのだった。気がつけばラスト。最後の美しい一文は、分かっていないのに分かったような気になりたく、なるほどとごちる。
あんな文章俺には書けない。まじまじと自分の力のなさを思い知る。そして勝手に落ち込んで、腹を立てて、他罰的になったりする。負け犬丸出しだ。
誰でも俺のように恵まれているわけではない。
近頃、冒頭の一節が頭から離れない。
人を悪し様にいうのはよそうと思う今日この頃である。
ちなみにノルウェーの森には車輪の下も出てくるが、こちらは読了済みだった。先に読んでおいてよかった。もしかしたら、出会いが遅れていたかもしれない。
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