仮面の告白

読後、自身の拙さを思い知ったのが仮面の告白だった。


三島にはじめて触れたのは高校生時分。金閣寺を買ってペラペラとめくってはみたが読了には至らず。「延々同じ事書いてらぁ」と、自身が理解できないものを小馬鹿にするスタンスを取る。愚劣の骨頂。結局同作品を読み終わったのは大学在学中の頃。時を経て、当時の俺の脳の足りなさ加減を知る。


その金閣寺を再読するきっかけとなったのが、潮騒。三島作品の中では異質とされているらしいけど、とにかく文章が綺麗でいい。素直な話がスッと入って心地よくなる。


で、この人凄いなと阿保丸出しの感情を懐きつつ金閣寺を読み、惹かれ、三島を知った気になっていた際知人から勧められ読んだのが仮面の告白だった。


潮騒と金閣寺を経て三島の強大さを知った俺だったが、想像を遥かに超えるイマジネーションダメージを負った。紡がれる文章に一分の無駄もなく、ガンガンと積み上がっていく重厚な情緒。一人称で進む物語に引っ張られ、身を千切られるような感覚を受ける。頭の悪い俺は、衝撃という言葉意外に表現する言葉を知らない。


教養や格式という点なら漱石や実篤の方が篤い気がする。文学として、二人の作品は価値が高いように思う。

一方、三島の作品は小説として完成されている。殊、仮面の告白はマジでヤバい。語彙がアレになるくらい洒落になってない。なんか自分が「小説書いてます〜」っていうのが恥ずかしくなるレベル。なんだあれは。馬鹿か。


三島はめっちゃ頭いい。「字引くらい暗記してるよ」とか言っちゃうくらい凄い。そんな奴が禁忌を題材とした小説書いちゃったんだからそりゃ表現も凄まじいし感性爆発な内容になる。三島の信条を投影したが故に真に迫った話になったのかもしれないが、俺は三島に会ったことないから分かんない。どうなんだろうね。男が好きってのは聞いてるけど。



ともかく仮面の告白はまじでやばい。生きているのが辛くなるレベルで凄い小説。創作やってる人間は読んだ方がいい。


あと、愛の渇きも面白いよ。エンタメ的な面白さだけど。


全然関係ないけど家畜人ヤプーを絶賛してたらしいね三島。俺は永井豪が描いた漫画の最初しかしらないから、原作も読んでみたい。


なんか三島と俺みたいになってしまったな。

これだけ偉そうに書いたけど、俺はにわかだよ。知識がないくせに経験と感覚だけで書いてんだ。恥知らずにも程があるね。でも、読んだら人に勧めたくなるのが三島の作品だよ。みんな是非読んでね。

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