課金を綴る

バブみ道日丿宮組

お題:茶色い小説の書き方 制限時間:15分

課金を綴る

 なんでこんな会社に勤めたんだろうかと数年前を思い出すが、やっぱりこの仕事しかなかったなと思う。めんどくさいことは不得意だし、淡々と同じことをするのはしようにあってる。

「……未だSSRなし」

 と、紙に試行回数を書き込む。

 パソコンに書けばいいのだが、それもめんどくさくなって、正を書くルーチンワークに変えた。出たときはきちんと書くが……、

「……」

 見渡せばみんな死んだような目をしてる。

 これでも給料は良いほうなのだから黙ってやるしかない。

 各ポジションのリーダーは統計とか他のデータも集めないといけないらしく別作業らしいがだるそうなオーラが見える。


 そう僕がやってる仕事はアプリランキング操作。


 それが僕のいる会社の仕事だ。

 つまりひたすら課金してリセマラしてガチャし、複数のTwitterアカウントでツイートをする。

 いかにも社員らしいようなそんな真っ黒いような真っ白いような話を作り上げる。まるで会社の小説を書いてるようなものだ。

 もちろんアカウントはきちんと管理されたものだ。

 100垢あるのは日常的に使わされてる複垢でもある。会社から支給された携帯電話。なお通信費はタダ。だから、必然的にもらう携帯電話(スマホ)で自分がやりたいゲームもやることになる。

 なおこの会社の利点としては、ガチャリセマラ+課金でいいのがでたら仕事終わりにもらってもいいことになってる。

 ただし、仕事中はそれはできない。

 きちんと作ったものをパソコンの表に載せなきゃいけない。

 あとアカウントごとに使える金額も決まってる。5万を超えた場合は、別垢というルール。きちんとでた確率も表記しなきゃいけない。


 確率がしっかりと働いてないと、きちんとゲームアプリとして起動してるのかという証明にならないというわけだ。

 

 ちなみに社員たちが膨大に課金してる金がいったいどこから支給されてるのかといえば、大手ゲーム会社だ。

 つまり、まさにゲーム会社の自演を手伝ってる。

 アプリ評価ももちろん、いいように書いたり、悪いように書いたりとそんな仕事もある。

 この仕事についたおかげでお金の減り方の怖さを感じる。それで止めてく社員はかなり多い。金銭感覚麻痺に陥る。夢か現実なのかわからなくなると、躁状態になる。

「……」

 こんなにお金を使うことは二度とないだろうからわからなくもない。

 僕もそろそろリーダーを任されるらしいが、だるそうなのは簡便だな。

 ただの課金厨なのにな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

課金を綴る バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る