🎃
毎年この時期は爬虫類のように冷たく寒いというのに、周りはあたたかな空気で包まれている。
かくいう私も、うかれ坊主の一人だ。ついついハメを外して遊びまわってしまう。
それはそれとして、私の高校はハロウィン前は必ず忙しくなる。名前は忘れたがハロウィンを印象つけるあの黄色いカボチャ、収穫したあとに彫ったり飾ったりと。食べれもしないカボチャのためにせわしく動き回るハメになる。
だが、ギザギザと彫られた歪でまがまがしいそのカボチャの口から、蛍のように明るく夜を照らしてくれる光景が待っていると思うと途端に手は止まらなくなる。
そして待ちわびた夜がくると、子供たちがお菓子をもらいにやってくるのだ。ニコニコと。キャッキャッと。
私は今日日、農業高校生で良かったと思う日はないだろう。普段は作った野菜がどこへ行き、どんな人が使っているのかなんて見れない分からない。だがこの食べれないカボチャと、私たちの見えない努力によって、彼、彼女たちは楽しく踊り回ってみせる。
幸せを作ったのだと思うと、私の胸は満たされる。
バカとハサミは使いようだし、仕事は自分のためでもあり、他人のためでもある。
カボチャと私のように。この農業のように。
これを書いている時間はハロウィンの日、その十五時。
今日もやってくるのだ。幸せな夜が。
人生は短い。だがやることは多い。そしてそのやることの中には、嫌なことも含まれている。
どうかがんばってほしい。あなたはハサミなのだ。その嫌なことを、うまく使ってみせてほしい。
そして、周りを幸せにしてほしい。
たとえあなたが錆びていても。
さぁ、私はハロウィンをじゅうぶんに遊んでこよう。この受験のしがらみがない高校二年生を特権に、青春を謳歌してこよう。
来年は受験生なのだから。
楽しさと辛さは両立しない。甘い時に辛いなんて味覚はこない。だからこそ、甘い時にガムは噛み締めておこうじゃないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます