たまにやらないことをやる罠

 当時の時期は冬。

 北海道住みなので、雪はものすごく降る。

 雪はふわふわと降り、あたたまった体をひんやりと冷やしてくれることもある。

 だがたまには、雹なのか霰なのか分からないものが、疲れきった私の肉体を痛めつけてくる。こんな日は体を覚ましてあげるためにもおでんを食べたくなる。幸い学校からコンビニは近い。降り積もった雪が道を阻むが、多少我慢して歩けばたどり着ける。

 だが見積もりは甘かった。手袋を忘れていた。つららが心を刺すが、背に腹は変えられず私は突き進む。

 疲労困憊となりながらも私はコンビニに着く。

 指の先は手足どちらも感覚が分からない。奥歯がガタガタとキリキリと、なんとも不愉快な行進曲を鳴らしている。

 ガタガタと鳴らしながら注文をすると、次に持っているのは会計だ。

 財布を開ければいつも一円玉がこんにちはをしてくる。

 すみで申し訳なさそうに存在するそいつは、私の小銭の使用方法が悪いせいでいつもいすわっている。

 だが今回こそは使いたい。

 そんないつもはやらない行動、気持ちがダメだった。

 感覚のない指はその小さなメダルすら掴めず。気分はさながらオリンピック選手だ。

 結果、私はおでんの会計ごときにだいぶ費やした。吹雪のおかげか客足は少なく、幸い私だけだったからあまり迷惑はかけていないが。

 みんなもたまにやらない行動をする時は注意をするべきだ。たまにしかやらない行動は注意散漫となり、目先のことが見えなくなるのだ。

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