世界はたこ焼きを見習うべき

 私はタコ焼きが好きだ。あたまにかっこよくタオルを締めたあんちゃんが、真夏の屋台で暑さをものともせずにたこ焼きを作る様は、私の唾液腺と胃をもろに刺激してくる。

 だが私がこうして平和の象徴ともいえる間食を実行している間に、世界の裏では食事すらままならない人たちがいる。

 理由が紛争であれ貧困であれ、彼らはともかく食べられていない。飢餓である。

 私には彼らを救うことなどできないのが辛いものだ。いや、辛いと言って手を差し伸べることすらしていないのが現状だが、そこはいったん置いておこう。

 紛争や貧困の原因は性癖のように多種多様だ。隣の芝が青いこともあるだろう。私とあなたの間で気に食わないことがあるだろう。意見が食い違うこともあるだろう。

 こんな一般人でも喧嘩として起こり得る火種が、ただ打ち上げ花火につくか線香花火につくかどうかで変わる。線香花火の方は一瞬で消えてくれるが、打ち上げ花火の方はどうやら枯れてもなお燻り続けるヨークアンドランカスターのようだ。最たる例がさっきも言った貧困や飢餓だろう。戦争は腹が減るだけとはよく言ったものだ。

 世界平和が訪れては欲しいが、いまだその兆候すら見えない。だが私は一筋の光を見た。そう、タコ焼きである。

 小麦とは世界三大穀物の一つにであり、その名を知らぬ者も口にしたことがないという者もいないであろう名植物だ。無論パンなどの原材料である。

 一方タコは日本では食べられているが、世界的に見ればそう食べられてはいない。なんなら食用と考える文化すらない国もある。

 とはいえ酢ダコ、タコ飯、唐揚げとさまざまな調理方法でタコを食べる我らが日本が属するアジア圏ですら、日本を含めなければ韓国やタイなど、タコを食べている国はそう多くない。因みに収穫量が世界一の中国ですら消費量はあまり多くないようだ。

 だがどうだろう、タコ焼きは。

 人気者と嫌われ者のマッチング。もちろんよろずの人に受ける味とは言わないが、タコの見た目が原因で食べない人にはぜひ食べてもらいたい。きっと食べれば美味しく味わえるはずだ。

 私も例にはもれないが、皆あれが嫌いこれが嫌いと見た目や偏見で判断し、ろくに話し合おうとも、妥協しようともせずに、無駄に折れない心を大切にして生きている。

 地球のように丸く、この愛くるしい見た目をしたタコ焼きのように、お互い手を取り合い、美味しくまとまってはくれないだろうか。

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