複雑怪奇な道程

 普段何気なく登校する道には、いくつか分かれ道がある。その先に何があるのか分からないというのに、私はそんな道を通ってしまいたい衝動によく襲われる。

 この先にはなにがあるんだろう。

 この先にはお宝があるかもしれない。

 見たことがない景色を見たい。

 分からないものは怖い。通りたくない。

 一歩間違えれば戻れなくなるかもしれない。

 ただの道だというのに、ただ知らないだけだというのに、一つの道に感情は鍋に入れられた具材のようにグチャグチャと混ぜられる。

 そして結局、臆病な私は行かない。

 道に限らず、一歩足が出そうな時私は自分の行動を何かに置き換える。

 もしこれが就職なら、悪徳な企業に騙されて入社し、干し柿になるまで使われるかもしれない。

 私は道に背を向けおとなしく学校に向かう。

 だが忘れないで欲しい。学校に向かう道もまた道なのだ。その道が正しいとは限らない。

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