第3話

「ゴホッゴホッんんっ、はぁー。」

こんにちは。陽葵です。唐突ですが、

風邪引いたかもしれません。

「どうした?風邪か?」

「うん。…ゴホッ…二日前から体調悪くて。ちょっと水もらえる?」

「別にいいが…大丈夫か?無理するなよ?」

そう言って、虎太朗が私に水が入ったコップを差し出す。

「大丈夫だよ…これくらい…ゴホッ…」

私は虎太朗がくれた水を飲む。

「ふぁーっ。どうしたの?」

「陽葵が風邪引いたっぽいんだ。」

「ゴホッ…。ゴホッ…。んんっ寒い…」

「とりあえず、1日寝かせてみる?ボクが様子見てあげるからさ。」

「そうだな。寝かせて、ちょっと様子見るか。」



「ありがとう。二人とも…ゴホッ…。んんっ。」

私は二人にお礼をする。

「いいよいいよ。お礼なんて。そんなことより、今日はゆっくり休んで、1日でも早く元気になってね!」

「ありがとう。」

その時。窓の方で、コンコンという音がしたのだ。

窓の方を見てみると…。

「開けてーーーっ!!羽で飛ぶのつらーーい!!アタシはずっと飛べないのーーっ!」

結衣ちゃん!?

なんと、窓の方に結衣ちゃんがいるのだ。

「どうした?なんか用か?」

「見てわかるでしょ!ひーちゃんが風邪引いたっていうから来たのっ!そろそろ由花ちゃんも来ると思うよー!」

すると、結衣ちゃんが部屋のなかに入ってきた。

それと同時にまた、コンコンという音がした。次はドアの方。

きっと由花ちゃんだろう。

「ひーちゃーん!!!」

由花ちゃんがドアを開けて、部屋のなかに入ってきた。

「「…!?」」

虎太朗と月夜が、いきなり入ってきた由花ちゃんにびっくりしている。

「家にあった風邪薬持ってきたよーっ!飲んでー!」

「由花ちゃん。ありがと…ゴホッ…。」

どうやら、由花ちゃんが風邪薬を持ってきてくれたようだ。

「えーっと。飲み方は、「コップに水を入れて、箱に入っている粉末状の薬を水の中に入れ、一分はかってからお飲みください…。」だってさ。」

「粉末状の薬ってこれか?」

虎太朗が箱からなにやら怪しげな薬を出す。

まぁ風邪薬だろう。飲まなきゃ風邪が治らないからな。

「じゃあボク水いれてくるっ!」

月夜がコップを持ち、冷蔵庫に入っているペットボトルをとりだし、水をいれている。

そして、結衣ちゃんと由花ちゃんがタイマーをセットしている。

「水持ってきたよー!」

月夜がコップを持って、こちらへ走ってくる。

「いれるぞ。」

虎太朗がコップの中に薬を入れる。

「タイマーセットぉぉー!!!」

《一分後…》

「はい、飲んで。」

「ありがと。」

ごくごくと私は薬を飲む。

「ゆっくり休んで、早く治せよ。」

「うん。」



《一日後…》

「月夜。陽葵の様子見に行くぞ。」

「うん。」

《陽葵の部屋にて…》

「おーい。陽葵?」

辺りはシーンと静まり返っている。

「陽葵?」

「おーい。陽葵?」

「クーン。」

陽葵の部屋からいぬの鳴き声がした。

おかしい。陽葵の家では、動物を飼っていないのに犬の鳴き声がするのは確実におかしい。

じゃあなんだ?野良犬が入ってきたのか?

でも、部屋は別に散らかっていない。

じゃあなんなんだ?さっきの犬の鳴き声は。

「…犬?陽葵?」

原因はすぐに分かった。

「ワンッ!」

「「えーーっ!いぬぅ!?」」

なんと、陽葵がいぬになっていたのだ。



「陽葵…どうして犬なんかに。」

コンコンとドアの音がした。誰か入ってきた。

「ひーちゃん!」

「っ!」

突然現れた結衣ちゃんと由花ちゃんに月夜はビビっているようだ。

「由花ちゃん、持ってくる薬間違えたっぽいんだよ!」

「「はぁ!?」」



「動物になれる薬が流行ってたじゃん?」

「まあ流行ってたね。」

その薬は、数年前に流行っていたものなのだ。

薬は、三種類にわかれていて、陸海空の三種類である。

たまたま、陸の動物の薬を持ってきてしまったのだろう。

「見た目が風邪薬に似てるから間違えて持ってきちゃったんだ…。そしたら、こんなことに…うぅぅ…。・゜・(ノД`)・゜・。」

「はぁーそう言うこと?」

月夜は納得しているようだが、僕には何をいっているのか分からない。

「うん。でも…。」

「…でも?」

「犬っ子ひーちゃんかわいい~~~!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆」

そう言って、結衣ちゃんは陽葵に飛び付く。

「はぇぇ!?」



「こんにちはー!なのだ~!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ひーちゃんあそびにきt…」

「「「「……」」」」

入っただけでみんなにガン見された!?

「へ?みんな何してるのだ?ひーちゃn…」

「クーン…」

「はえ?ひーちゃんだよね?」

「……。」

「はわわわわぁ…。」

「?」

何時ものひーちゃんを越えるかわいさ。

たまらないのだ!!!

「可愛すぎるのだ!どうしたのだ!?」

「じ…実は……。」

「?」



「ということがあってな。」

「そ~ゆうことなのか…でも、私は別に気にしてないのだ!何時ものひーちゃんよりかわいいからなぁ!(*´▽`*)」

琴乃ちゃんも納得しているようだ。

「「すぅ…。」」

月夜と陽葵は話をガン無視して寝てるからなぁ。

「うぅぅ…ひーちゃんいつ戻るんだろう…」

「早く戻ってほしいなぁ~…」

その時。一階でガラガラという、ドアが開く音がした。

きっと亮太が帰ってきたのだろう。

それと同時に月夜が起きた。

「ただいまー陽葵?調子どう?」

「ふぁーっ。お帰りー」

「亮太。お帰り。」

「そんなことより陽葵は!?陽葵はどこにいるんだ!?俺は陽葵が一番の宝物なんだっ!」

亮太は陽葵に早く会いたいのかソワソワしていて落ち着きがない。

「陽葵?陽葵なら二階にいるぞ?」

「よかった~…」

亮太はほっとしたのか安心しているようだ。

「ただ…何を見ても驚くなよ?」

「は?どういうことだ?」

亮太は意味がわからず首をかしげている。

しかも、腕くんでるし。

「まあ見れば分かるだろ。」

「はぁ!?陽葵は陽葵だろ!?驚くわけないだろっ!」

「ほんとかなぁ…?見たらビックリするんじゃないの?」

「そんなことより早く陽葵に会わせろっ!」

亮太が月夜と虎太朗を押し退けて二階に行く。

亮太、陽葵の姿を見て驚くだろうなぁ。

「はぁー。アイツ。陽葵に会いたいっていう気持ちだけは強いんだよなぁ…」



コンコンという、ドアの音がすぐそばで聞こえる。

「ん…?誰だろう…」

由花ちゃんがドアノブに手を伸ばしたその時。

「陽葵!!!!」

「うわぁぁぁぁあ!!!」

亮太がドアを開けて部屋に入ってきたのだ。

「あっ!亮太君。」

「陽葵はどこだ?」

「ひーちゃんならこっちにいるのだ!」

そう言い、琴乃ちゃんが指を指す。

「陽葵っ!」

「クーン…」

「ひっ…陽葵だよな?」

「ワンッ!」

「そ…そんな…陽葵…どうしてだよ…。」

「はぁ…亮太。」

虎太朗と月夜が部屋に帰ってきた。

その時。

「っ…!虎太朗!」

亮太が虎太朗の肩をつかんで壁に押し付けたのだ。

「なっ…びっくりしたぁ…。」

「陽葵に何をしたんだよ!」

「虎太朗君は何も悪くないのだ!!」

そう言って、琴乃ちゃんが止めに入る。

「実は…。」



「はぁ!?持ってくる薬を間違えた!?」

「その薬でひーちゃんがこんなことになっちゃったんだ…。」

「亮太くんごめんっ!m(__)m」

結衣ちゃんと由花ちゃんが亮太に謝っている。

《その頃…》

「ちょっとぉ!陽葵くすぐったいってばぁ!」

「クーン…」

私は必死になって月夜の顔をなめ回している。

特に意味はないが。まぁ暇潰しになりそうなのでやってみた。

「月夜。そろそろ僕の番だ。」

「えーっ!(*´・д・)陽葵は僕のもの!」

「ダメだ。五分ごとに交代っていっていただろ?」

「まだ五分たってないっ!」

「もうとっくに過ぎてるぞ?」

そう言って虎太朗は服についているポケットをあさり始めた。

「もうっ!どこに証拠があるんだよ!」

「ちゃんとタイマーをセットしてあるんだ。これが証拠になるだろ?」

虎太朗はタイマーを手に持ってそういっている。

ピピピッ…ピピピッ…とタイマーがなっている。

「なっ…何でぇ!?タイマー切ってあったはずなのにぃ!」

「というわけで!僕の番だっ!」

「はっ!ちょっと待ったぁ!!!」

そう言って亮太は、虎太朗から私を引き剥がす。

「なっ…!はぁ!?」

虎太朗は理解が追い付いていないようである。

まあ、虎太朗はこういうところがかわいいからいいのだが。

「陽葵は、俺のものだっ!」

亮太がどや顔で私のことを見ているがそこは気にしないでおこう。

「思ったけど…ひーちゃんは誰のものでもない気がする。」

結衣ちゃん。正論ありがとう。



「ふぁーっ、ひーちゃんと遊んでたら眠くなってきちゃった。」

「私も。昼寝しようかなぁ。」

「陽葵…かわいい。」

虎太朗さん。そういってくれるのは嬉しいですが、何でずっとハグをしているのでしょうか。

そろそろ離して欲しいのですが。

「虎太朗!五分たったから交代っ!」

「五分たってないぞ?ほい。タイマー」

「ちぇっ…ばれた。」

月夜は別のタイマーをならして、虎太朗を騙そうとしていたのだ。

まあ無理だったけどね。

「陽葵は俺のもんだーっ!」

亮太はまた、虎太朗から私を引き剥がす。

「亮太?ふざけるなよ?」

虎太朗が怒っている。まぁそっちも十分かわいいが。

「いってるだろ?陽葵は俺のもんだ!」

「ちがうっ!陽葵はボクのもの!」

「はぁ?」

「ボクのものなんだっ!」

「じゃあ陽葵をかけてやりあうか。」

「陽葵のためならやってやるっ!」

亮太と月夜の喧嘩が始まってしまった。

「ヤバイな。逃げなきゃ。」

虎太朗は私を抱えて別の部屋へ移動した。



「はぁ…はぁ…」

虎太朗は私を抱えて走ったので、かなり疲れているようだ。

「なぁ。陽葵は僕だけのものになってくれるか?なってくれたら、あの美味しいシュークリーム。また一緒に食べようぜ。」

唐突ですね!?

「ワンッ!」

私今これくらいしか喋れないんですが?

「…でも、犬のままじゃ食べられないな…」

「クーン…。」

「なぁ…。陽葵。」

「?」

「何時もの陽葵に戻ってくれよ…僕は何時もの陽葵の方が好きなんだよ…戻ったらシュークリーム食べられるだろ?」



「虎太朗ぉ!!陽葵を独り占めしてんじゃねぇ!陽葵をかe…」

「わぁっ!びっくりしたぁ!」

虎太朗。私もびっくりしましたよ。あなたの声に。

「あっ!亮太!」

「えっ…陽葵戻ったの!?」

「えっ?私は普通だけど?私になんかあったの?」

ちょっと待って?記憶があやふやすぎるんだけど?

「いや、別に、特に…ということはないんだが…。」

さっきなんかちらっと見られた気がするんだけど?まぁいいや。気にしない気にしない。

「てことで!後は虎太朗っ!陽葵よろしく!」

えっ?なんか逃げられたんだけど?めっちゃ怪しいんだけど?

「えっ!?はぁ!?ちょっ…ふざけるなっ!」

「虎太朗…もしかしてだけど、なんか隠してない?」

「なにも隠してないっ!こっちに真顔で寄ってこないでくれっ!」

虎太朗。めっちゃビビりだった。



後書き。

イヤー。朝から考えてたのにネタ切れでマジ笑た。

犬になっちゃうあり得ない薬が出てきたけどあんまり気にしないでね?

そんなことよりどうだった?三話。

いやマジで虎太朗最高っ!イケメン過ぎ~!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

「何時もの○○の方が好きなんだよ…」とか言われたら、もうかっこよすぎて天国行くわ

🔔~お知らせ~🔔

四話かなりの長編になるので、前編、中編、後編に分けて出したいと思いますので、よろしくお願いします!


じゃあまたお会いしましょう。

バイバイ。

                      オオカミ娘の陽葵ちゃん。 三話 END

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