11−85【女王へ続く道4】



女王さいかいへ続く道4◇


 静かな廊下を歩くと、直ぐに大階段を発見。シャロの言う通りだ。


「ん?」


 ここに来て初めて人の気配。というか室内から声が漏れてる。

 この部屋は……警備室か?


(話し声だ……またバカでかい声で話すこと)


 半ば呆れながら、俺は壁に近づき耳を澄ませる。

 【感知かんち】で、周囲を警戒しながら。

 そうすれば直ぐに、外まで漏れていた話し声が明確に聞こえる。


「なぁ聞いたか、クロスヴァーデン大臣閣下の動向」


「ん?ああ……全軍にも似たような指示が出てるやつな。大臣閣下は【ステラダ】へ行ったんだろ?特命だったはずだけど」


(……!!)


 マジかよ!この状況で【ステラダ】に!?

 ミーティアたちがいる場所に……ダンドルフ会長が。

 しかし戻るわけにも行かない、くそっ!予想外だっての!


「しかもあれだろ?特命っつっても、閣下は更に密命……陛下の要望を叶えるための任務だとか」


「えっと、異常能力者……だっけ?」


(……転生者の事か?)


 異常能力者、言葉だけで考えれば間違いなく転生者だろう。

 シャーロット女王が、転生者を探してる?まさか俺の事……ではないよな。


 俺は壁に背を預け、顎に手を当てて考える。


 あの時、俺に直接「ユルサナイ」と呪いをかけてきた時点で、あの子は俺が近くにいることに気付いているはずだ。

 今この場に誘い込まれている可能性もあるが、俺はもう突破すると決めたし、急場凌ぎではあるが、ウィズのおかげで対抗策も完成しつつある。


「えーっとなんだっけ、確か新しい武具の開発だろ?」


「だな。知識のある人物の勧誘……いや、今の国からすれば誘拐だな」


 武器だって?

 この旧世界の時代設定の異世界で、新たに作る武器って……


「俺等のような下っ腹も含めて全軍に正式通達されてるしな、俺たちも……それらしき人間を見つけたら連れてこいって事だろ?いるかな、王都に」


「おいおい、どうやって見極めんだよ異能者。大臣閣下でさえ、適当に見繕みつくろうに決まってるだろう」


「確かに」


「「がははっ」」


(……あほくせぇ)


 ガチャ。


「ん?」


 俺と目が合う兵士。

 完全に動揺しているな。


「え?」


 ったく、直前までアホな会話をしてたのに突然動くなっつの。


「だ、誰だ貴さ――」


 兵士は剣を抜こうとするが。


「……【夢望ねてろ】っ!」


 瞳から【夢望むもう】を発動、強制的に眠らせる。

 ガクン――ドサッ。


「おいどうした!!急に……」


「【無限インフィニティ】!」


「な!!ぐっ、か……身体が動かん!!」


 部屋から出てこようとした一人は眠らせ、一人は動きを封じた。

 俺は眠った兵士を引きずって部屋に侵入。


「さて、折角だから色々と聞かせてもらおうとしようか」


「くっ、この!だ、誰かぁぁ!誰かいないかぁ!!」


 いないのを確認しているから見つかってやったんだろうが。

 この一般兵Aが何処までの情報を知っているかは分からないが、少しは情報を引き出したい所だな。

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