11−38【血に残る遺産6】
◇血に残る遺産6◇
屋敷内に
外観は、【ステラダ】にあるクレザース家の内装を再現して、俺が用意したものだけど……内装はロッド先輩の趣味かな?この派手さは。
絵画、彫刻、骨董。
様々な工芸品が飾られていて、ある意味博物館を想起させる。
「興味があるのか……?」
「え。あーいや、高いんじゃないかなって」
俺に芸術を愛でる感性はないですよ。
「ふっ……この数々は、イリアの趣味だ。俺の趣味だと思ったか?」
「え、イリアの」
ちらりと横を伺うと、気恥ずかしそうにイリアが。
「は、はい。私が選別して、購入したものです」
そう言えば、アンティーク調の物が好きだったな。
ガントレットとか、装備品もそういうのが多いし。
「へぇ、良かったなイリア」
俺の言葉の意味。
それに気付いたイリアはとても嬉しそうに。
「はい!他のメイド仲間の方たちからも、大変優しくしていただいてますっ!」
満面の笑みでそう答えるイリアに、もうハーフとして
ドンドン変わっていくんだ。これからもずっと、いい方向に。
「さぁ、会議室についたぞ」
「失礼します」
開けられた扉をくぐり入室。
イリアがメイドさんよろしく椅子を引いてくれて、そこに着席。
ロッド先輩は対面に座った。そしてイリアは直ぐに紅茶と菓子を用意する。
この部屋にも茶器とか置いてあるんだな……用意周到だ。
「それで、だ。覚えがあると言ったな、俺は」
「はい。【ステラダ】で……ですよね」
早速話してくれるらしい。
あの場では言いにくい事、そして今回の騒動を受けて思った事。
「ああ。今【アルテア】で起きている暴行事件や騒動、これは……【リードンセルク女王国】内で頻繁に起きていた事と
「国内ですか?」
【ステラダ】や【カレントール】だけではなく、国内全土と言う意味なのか?
「そうだ。意味不明で突発的な喧嘩などではなく……知り合い同士のいざこざや異性絡みの醜い争い、家族同士の内輪揉めなど……様々だ。だが、それ全てに言えることは。どれも己の中で解決出来るレベルのもの、だという事だ。些細なものだが、必ず何かしらの理由が存在している」
「それって……」
自己解決出来る事柄を、我慢出来ずにぶつけてしまう。
苛立ちや不満を抱えていても、その多くは内側で治められるんだ……それを出来ずに、暴力に切り替えてしまう。
持ってきた資料を見ながら、先輩は続ける。
「時期は、王国が女王国と名を改めた昨年の四月から……報告では今も続いている。それがこの【アルテア】まで来た、そう考えるのが妥当だと思うがな」
「発生した時期とか、どこから始まったとか分かりますか?」
「少し待て、見てみよう」
俺は椅子に背を預ける。
するとイリアが「お待たせしましたミオ」と、香る紅茶とクッキーを出してくれた。ロッド先輩が資料に目を通すまで……少し待とうか。
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