11−34【血に残る遺産2】



◇血に残る遺産2◇


 核心を突く俺の予測。

 もう確定だと思ってるけど、たまたまカミュがそういう境遇だっただけで、他の人たちは多分、そこまで強力な能力を目覚めさせる事は出来ないはずだ。

 ノーマルスキルって言えばいいのかな、転生者からすれば外れ能力に該当するが、それでもないよりは遥かにマシ。


『――ですが』


「お待たせ、コーヒー四名様〜」


 ウィズが何か言おうとすると、セリスが戻ってきた。

 テーブルにコーヒーを置いていく。


「サンキュー、投影室からぶっ続けで話してたから……喉かわいた――ってホットかよ!!」


「あら駄目だった?」


「駄目じゃないけどさ……」


 内心ガッカリだった。

 ゴクゴク喉を潤したかった気持ちはある。

 いいんだけどさ、飲めれば。


「――あ、美味しい」


「……ですね」


「ふっふ〜ん」


 ドヤ顔をする皇女様。

 いや美味いけどもね。


「続き話すぞ、セリスもドヤってないで座ってくれな」


「は〜い」


 少しだけムッとして、不満そうに座るセリス。

 俺が美味いって感想言ってないからだろ。


「多分、歴史の中で沢山いたであろう転生者。その人たちはこの世界に生まれ変わって、普通に恋をして、普通に家庭を持って生きた人も大勢いるはずだ。その中で、子孫たちにはほんの少しの情報が残されたんだよ……遺伝子に、その転生者が所有していた、転生の特典ギフトの情報が」


「有りえない話じゃないと、私は思うけど?」


 セリスがそう言って俺を見る。

 女神たちに聞けば、もっと詳しく分かるかな?

 だけど、ウィズですらあそこまで驚くんだ……多分これは想定外。

 もともと不可能だと、そう想定していたに違いない。


「ああ。セリスの言う通り、俺が【無限むげん】を神化させたことで劇的にパターンが増えたんだろうな。転生の特典ギフトの在り方も、転生者の価値も……今後、未来の世界では価値がなくなるかもしれない――でも」


「それでもやる価値はある、のよね」


「そうね!アイシアやミーティアだって、エリアルレーネ様たちだって理解してくれるはずよ。なんたってミオが、【オリジン・オーブ】の主様がそういうんだから!」


「……おいおい、俺は少しだけ調整しただけだろ?」


 そう熱弁を振るうセリスに呆れつつも、俺もある意味で同じように考えていた。

 【オリジン・オーブ】は……もうEYE'Sアイズ専用の神の道具じゃ、ないという事を。


 その理由は、今の俺が……【オリジン・オーブ】の完全複製品を、【無限むげん】で作れてしまうからだ。

 【オリジン・オーブ】だけじゃない、神が作りし【神器アーティファクト】。

 それを俺は、好きなように、好きなふうに、どんな設定でも生み出せるんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る