11−28【神の恩恵3】
◇神の恩恵3◇
この光景をどれだけの村人たちが見ているんだろう。
投影機で村中に映像や声を届けて、こんな小さな女の子に実験まがいの事をする。
初見で見たら、完全にいただけない構図ではないだろうか?
「……」
俺の目の前で膝を着き、瞳を閉じるカミュ・テレジアドール。
人間族の上位種、超人へと【
能力なしの喧嘩をしても、天上人の俺やクラウ姉さん、魔人のラクサーヌさんやロイドさんと同等の強さを持つだろう女の子だ。
「心の準備は良いかい?」
「……はい。いつでも」
言葉を発す時、必ず少しの間がある。
考えて話しているんだろうか。それとも話したくないとか?
そっと額に触れると。
小さく「ん」と、閉じた
おっと、映像を見ている村の皆にも説明しないと。
「これから、このカミュ・テレジアドールさんの中に眠る……能力を目覚めさせる。今後起こりうる、【アルテア】防衛のためだ。【アルテア】に住む皆も、最近の近況は知っているだろう……そう。突然、人が乱暴になるという事件だ」
最悪なことに、殺人にまで発展してしまったこの事態。
収束させるには俺たちだけでは圧倒的に数が足りない。
「暴徒化した人の中には、穏やかで心の優しい人も多くいた……それは当事者も、被害にあった人も分かっているはずだ。だけど、この騒動には原因がある。その為に……その騒動を収めるために、俺――ミオ・スクルーズは【アルテア】の皆に協力を要請するっ!」
このカミュ・テレジアドールを覚醒させる。
そうして奥底に眠る能力を開花させて、自衛を出来るように
【アルテア】に住む……望むなら全員に。
「人には必ず潜在能力がある。今まで農民として過ごしてきた村の皆にも、ここに移住してきた皆にも、冒険者や軍人にも……必ずだ!力がなくて諦めた人もいただろう。だけど、それはまだ早かっただけ。きっかけさえあれば、絶対に強くなれる……そんな力を……皆は持っているんだ!」
この俺の演説を聞いて、どう思おうが勝手だ。
この【アルテア】を守っていく為に、俺はもう転生者の力を存分に使っていくと決めた。
【
「――行くぞカミュ、【アルテア】の皆に希望を与える役目を……担ってくれ!!」
「……はいっ」
能力――【
「
本当は、一瞬光る程度らしいその発動手順。
だけど、これはパフォーマンスだ。
見せるために、派手に演出をする必要がある。
【
全てエフェクト代わりに使用し、ド派手にやってやる!
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