10−19【公国組の真意4】
◇公国組の真意4◇
翌日、俺とミーティア、セリス、ルーファウスを連れて国境まで来ると。
「……よくよく観察すると、結構立地が悪いな」
「ですね……地形が複雑で、整地は大変そうです」
そこはいいんだ、一発で終わるから。
問題は、どこまでの範囲を更地にしてしまうかだ。
「三国の国境だしなぁ、あまり勝手をしても火種になっちまうし、まず人は少ないからな……」
現状の問題として、村の人数とルーファウスの賛同者を集めても、千にも満たないと言うことだ。移住者を求めるにしても、強制的にやってしまったら王国と同じ。
ならばどうするか。
「興味を持ってくれそうなことといえば……野菜、よね?」
ミーティアがそう言う。
興味を持って貰う、か……いい考えだけど、簡単には行かない気もする。
「いっそ塔でも建てたら?……めちゃくちゃ高い、近隣の町や村からも見えるような」
セリスの言葉に俺は―。
「観光地かよ」
前世の観光地を想像してしまったが、それもありかも。
「いいじゃない、村タワー」
「ダサいダサい」
「……あ、あのねミオ……私」
「ん?どしたティア」
ミーティアが何やら言い淀みながらも、考えがあるようだ。
『――おそらく』
平気だってウィズ、ミーティアならきちんと言ってくれるさ。
「……セリスさんが言うその塔なんだけど」
あらそっちか。
「うん。どうした?なにかあるか?」
「私に考えがあってね……それをやってみないかっていう……相談、なんだけど……」
尻すぼみしていく。
いいんだよ、そんな遠慮しなくても。
「聞かせてくれるか?セリスもいいよな?ルーファウスも」
二人共《うなず》頷いてくれる。
それを確認して、ミーティアは。
「うん。分かったわ……それじゃあ、ミオは【ステラダ】にある商業区を覚えてる?」
「ん、ああ……初めて【ステラダ】に行った時にティアに案内された場所だな。勿論覚えてるよ」
「その場所を参考にして、商業塔を建てたらどうかしら」
商業塔か。
確かに【ステラダ】は商業の街なわけだし、国内外から人が集まる場所だ。
実際、帝国や公国の物資が回っていた……つまり、ミーティアが言いたいことは。
「なるほどね――野菜など、同じく商業ならば……【ステラダ】を潰す、と」
セリスが含み笑いを浮かべながら言う。
「そ、そそ、そんな物騒な言い方はしてませんっ!」
セリスにツッコんだ……だと?
「でもいい案ですよ!流石ミーティアさんです」
「俺もいいと思う。高さで言えば……雲まで届けば充分かな?」
近くの町村まで見えて、更にはアピールしなくちゃならない。
ならドデカくて目立つ方がいい。
「く、雲!?」
「ああ。いっそのこと、世界一高い塔を建てちまおうぜ?アラブの大富豪も腰抜かすほどのなっ!」
「あらぶ?」
「それはいいわね!私の思惑ともバッチリ、頼りになるぅ〜!!」
ガバッ!と、セリスが興奮気味に俺に抱きつく。
この子のスキンシップなんとかして!!
「だ!だぁー!くっつかないでくれセリスっ!!」
「――やぁだよ〜」
「……」
ミーティアはそんな冷めた目で見ないでくれ!!
これはただの嬉しさ大爆発だから、犬みたいなもんだからぁぁぁ!
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