10−18【公国組の真意3】



◇公国組の真意3◇


「スパタ伯爵ってのは、そこまで積極的に軍を動かすような人物なのか?」


 俺の疑問は、その【ルードソン】と言う町が魔法が盛んだということ。

 伯爵が魔法使いなら分かるが……スパタは剣、ルーファウスの家名であるコルセスカが槍だし、メタ読みすると。ほら、レイナ先輩は槍使いじゃん?


『――その理屈では、ルーファウスが刀を使用している理由にはなりませんが』


「……スマン」


「え。どうして謝るんですか……?――と、スパタ伯爵は、魔法使いですよ。でも血の気が多いのも事実で、剣士でもあります」


 ほらぁ!


「魔法剣士って事か。血の気が多いのは面倒だな……でも、ルーファウス。もしかして」


 俺の思う通りなら、既に対策はしているはず。

 なんたってここまで準備万端なんだ、ルーファウスは。


「はい!僕に賛同してくれた人の中には、アンチマジックに優れた方がいます。場所さえ確保してしまえば……」


「なるほど。それなら早いほうがいいな……早速明日にでも準備しよう、それでいいか?」


「はい、お願いします!!国を……救うために、ミオくんたちの力を貸して下さいっ!!」


 やはり、ルーファウスの真意は国だ。

 この少年は、始めから未来を見ている。

 国を腐らせる人物たちには任せておけない、だから自分が奮起する。

 立ち上がり、声を上げ、万全に準備をし……そして出会った俺が、きっかけだ。


「ああ、構わない。場所を提供してくれたのはルーファウスだし……なにより自分の未来の為になるのなら、協力を惜しまないさ」


 時間は、数ヶ月はかかるだろうな。

 もしかしたら一年近いかも知れないが、それでも村の復興と規模の拡大が出来るのなら、俺は全身全霊でルーファウスに協力する。


「……まずは拠点の確保。更には防衛の――」


「それは僕の軍を使って下さい、数は多くないですが……それなりに実力はありますよ」


 それは助かるな。


「助かる!こっちの欠点は、なにより人手だからな。量より質とはよく言うけど、数だって大事なのは重々承知、数の暴力って言葉もあるし、活用させてもらうよ」


 手数は多いほうがいい。

 ルーファウスに賛同してくれた人たちは、百から二百、それだけでも村の人数に匹敵だ。

 更には戦えるほどの実力者……人員としては申し分ない。


「労働でもなんでも使ってあげて下さい、その方が喜ぶので……何故か」


 辟易へきえきしてそういうルーファウス。部下たちはドMかな?


「なら遠慮なく。まずは整地をしなきゃならないから……五十人ほど借りて、国境近くを整備しよう」


 更地にするだけなら、俺の進化した【無限むげん】で一発だ。

 驚異的な短時間で村を起こす……そして反論できないほどの正当性である女神を発破剤にして、一夜城ならぬ――一夜国の誕生だ。

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