9-71【神の歴史5】
◇神の歴史5◇
負のイメージや悪い感情を具現化した
その能力の名に、俺も心当たりがあった。
「――【
「そうでしょうね」
アイズは
でしょうねって……お前がポンコツかまして俺に持たせたんだろうが。
「安心してください、能力は能力です。身体や心に影響はありません……持つ人によっては、凶悪なものになるでしょうが」
そうなってしまうんだろうな。
善人が持てば最良の頼もしい能力となり、悪人が持てば狂気を増す一端となる。
「私が転生者の選別で担当していた人物たちにも、オウロヴェリア由来の能力を得ていた人物がいましたが……少なくとも数人、悪に身を落として命を落とした子がいます」
懐かしそうに、そして悲しそうにエリアルレーネ様は言う。
過去にあったんだ事を思い出したのか。
「あたしは数百年サボ――じゃなくて転生者の選別を任せられなかったから、そういう経験はないわね、第一ミオとクラウしかいないしねー」
だからあんなにも不慣れと言うか、率直に言えば下手くそだったのかよ。
そんなんだから全能力付与とかとんでもない事をするんだぞ。
俺が心内でアイズの事を軽くディスっていると、エリアルレーネ様が。
「ですが今思うと、それも正解だったのではと思えてしまいます……」
「はぁ?」
アイズがポンコツしたことが、正解?
「どういう意味でしょうか」
「ふふっ、いえなに……アイズが
正確にはクラウ姉さんだろうけど、それでも俺がきっかけだしな。
「あたしはあんたがここまで早く成長するとは思ってなかったわ」
「早いか?今年で十六年だぞ……?」
俺が転生して十六年、もう十六年だ。
だけど確かに……スタートが、ゼロ歳で前世の記憶がある状態から始まって、それでいてド田舎暮らしだ、初めはド田舎の生活で諦めて、スローライフを目指したけどさ。
スローライフをしたいという気持ちは変わってないけど、それでもまずは周囲の問題を解決しないとな。
「神の十六年なんて、寝てればすぐよ」
だろうけどな、人間の十六年は長いっての。
しかも赤子から大人の意識があったんだ、正直辛かった。
「――ですよね、なんだか分かる気がします……」
「アイシアは分からなくていいんだぞ」
「アイシアは考えすぎないで」
「え、えぇ……?」
俺とミーティアに言われて目を丸くするアイシア。
アイズもエリアルレーネ様も、「その通り」と言わんばかりにアイシアを見て苦笑いだった。
俺はコホンと咳払いをして。
「コホン。アイシアのしんみりはともかく、そのオウロヴェリアって女神の能力が残っていると言うことは……?」
「そう。主神がどのような思惑で彼女の能力を残したかは不明ですが、女神を
「それが出来れば……たとえアイシアが女神に成っても」
「アイズさんは消えないっ」
笑顔になるアイシアとミーティア。
顔を見合わせて、それが最良の道だと、方法を見つけられたのだと。
だけど問題は。
俺が思ったことを、アイズが言う。
「――問題は、オウロヴェリア由来の能力と武器がどの転生者が持っててどれだけ残ってるかなのよ」
そうだ……どこの誰がその能力や武器を所持していて、どれだけの数があるのか、どれだけの数を集めればいいのか、俺たちは分からないんだ。
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