9-67【神の歴史1】



◇神の歴史1◇


 この異世界には、極少数の神しか存在しない。

 いずれも女神……そのたった五柱の女神が、この世界を支えていたのだ。


「枠が空いてる?五人の女神に……?」


「そうです」


「ちょ、ちょ!ちょっとエリア、下界の人間は知らなくてもいいことでしょ!?なんでそんな簡単に口を割るのよ!!」


 こらアイズ、それだと俺が拷問しているみたいだろうが。

 しかし取り分けショックを受けているのは……この世界の住人であるミーティアとジルさんだ、特にジルさん。

 あ〜あ、長い耳がしなだれちゃってまぁ。


「数々の異世界を創造し、そしてそのまま放置する……残った世界は指で数えるほど、その理由は勿論……神が存在しないからです」


 それってすげぇ無責任だな、神には責任ないっていうのかよ。


「ミオ、すごい顔してるわよ」


「……あ、ごめん」


「命は命、私たちはそれを捨て置けません……だからもっとも大きく成長したこの世界【レドゥーム・アギラーセ】を管理することにしたのです」


 「「「【レドゥーム・アギラーセ】……」」」と反応する原住民の方々。

 ま、まぁ……そりゃあ教えてくれる人もいなけれそうなるよな。

 地球ってなんで地球なの?って子供に聞かれたことあったなそういえば。


「だから、神が滅びた後の世界には……今も主神一人が存在し続けているわ。今はもう神も必要ない、人間たちが独立した世界でね」


 まさか、それが地球なのか。

 よく神話とかでラグナロクとか聞くけど、もしかして本当にあった?

 その戦いで神は滅びた、そして一人残り、退屈な主神は世界を想像した……それが数あるうちの異世界の一つ、【レドゥーム・アギラーセ】。


「この異世界も、はじめは地球と同じく動物たちの世界だったわ……」


「そう。ただし魔物ですけどね」


 そして人間が誕生した。

 原始時代かな。


「もう何千年も経ってるってのに、なかなかに進歩してないんだな……異世界って」


 もしかしたら、この世界は地球と同じくらい、人の歴史があるのかもしれない。

 それなのに、異世界は異世界だ。

 現実には遠く及ばない科学と技術は、古いと言われればそれまで……しかし、剣と魔法はやっぱり夢があると思うけどな。


「歴史で言えば、この異世界は異常なんですよ、ミオ」


 俺を名指しでそう言うエリアルレーネ様。


「異常、ですか?」


「この世界の種族は、もともと人間族ただ一つ……それ以外の種族は、いわば異世界人なんですから」


 【天族】や【魔族】、【エルフ】に【獣人】、【竜人ドラグニア】もそうだと言うことか。

 それは聞いたことがあった。冒険者学校でも勉強したしな……その時は異世界なんだからよくあると思ってたけど、それもまた浅いんだろうな、きっと。

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