9-49【視ていく者1】
◇
アイシアがミーティアに頼みごとをした。
それを頼むときのアイシアは、とても嬉しそうでもあり、そしてとても悲しそうにも見えた。
一方でミーティアは、これで本当にいいのかと……何度もアイシアに確認をした。
アイズはもう何も言わない。言えない。
そのアイシアの決断は、今のアイズを不要としている言動だ。
しかし、アイシアがアイズを蹴落とそうとしていると言う訳ではない。
アイシアの能力――【
その時点で、アイズが消えることなく生きている事が分かる。
だからアイシアは、女神と言う存在でなくなったとしても、アイズが救われると思ったのだろう。
その決断は、既に誰にも止めることは出来ない。
アイシアは……ミオの事を今も好きだろう。
だが、一番に考えられるものではなくなっていた……あの時、自分がアイズのように成れるだろうかと考えた時点で、それが決定付けられたのだ。
◇
夜……雨が上がり、夜空に星が
村に戻る、ミオ・スクルーズとリア。
「リア、やっと着いたぞ……はぁ、疲れたな」
リアをおぶったまま荷馬車を
村の地下で、女性たちの間でどのような会話が行われたかを知る事もなく、疲労で顔を暗くする。
ミオが声を掛けても、背中で眠るリア。
だから起こすのは止めて、ミオは。
「ウィズ、ミーティアたちはもう着いてるよな?」
『――はい。現在こちらに向かっています』
ウィズも制限が掛かる中、ミーティアに連絡を取ったらしい。
連絡と言うよりは、報告に近いが。
「そうみた……――マジか」
視野に入るのは、ミーティアと……アイシアだった。
思わぬ組み合わせに本気で驚くミオは、自然と緊張した。
「……ミオ!!」
小走りのミーティアと、その後ろをゆったり歩くアイシア。
ミーティアは少し緊張、と言うか恥ずかしそうであり、アイシアは何故か満面の笑みだった。
「す、すまん!遅くなったっ!!」
何故か謝ってしまう。
正面にミーティア、アイシアはミオの横に立ち、リアを代わりに抱っこした。
アイシアはその後離れて、何故かミーティアの後ろに。
「……?」
(なんだこの感覚、違和感?不信感?変な感じだ……)
それは笑顔のアイシアの行動であり、正面で緊張するミーティアの赤面ぶりを見ての疑問だった。
「お、おかえりなさい、ミオ!」
「え、ええ?あーうん。ただいま……ってどうしたんだよティア、なんか変だぞ?」
「――分かってるの!自覚アリだから気にしないで!?」
目がグルグルと回っていそうな、そんな混乱した顔でそう叫ぶミーティア。
ミオは余計に戸惑う。視線はミーティアとアイシアを行ったり来たりだった。
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