9-43【二つのオーブ1】
◇二つのオーブ1◇
地下に下りて行くと、教会のある中層には村人たちが多く居た。
更に下層には祭壇らしきものがあるらしく、そこに村人全員が入れられていた(言い方悪い)けど、出てこれたみたいね。
「皆っ!!」
「――イリアっ!」
私たちを見つけて、真っ先に駆けてきたのはキルネイリアだった。
何故か村人と一緒に、祭壇のある場所にいたらしい。何故なのか。
「なんだかすごく久しぶりな気がします、ああ、よかった……ミーティアも、ジルさんも無事で」
「私もよ。
ミーティアと抱き合い、イリアは涙を流していた。
友人だものね、気持ちは分かる。私は泣かないけれど。
「クラウさん」
「なぁに、アイシア」
「両親の所に行ってきてもいいですか?あたしも直ぐに教会に行くので」
そうよね、当然心配になるべき事だわ。
少し安心した気がする……アイシアが、ようやく村娘のような事を言い出してくれた。
「ええ、行ってきなさい。ついでに
「ふふっ。はい!」
そう笑って、アイシアは駆けて行った。
イリアと抱き合っていたミーティアは、その背中を見ていたけど、唐突に。
「ねぇクラウ。アイシアは……怒っていないかしら」
「……なに急に。自信なくなったの?」
「そうじゃないけど、私はどんな顔で話せばいいか、正直言って分からなかったから……申し訳ないと思うのは違うし、ごめんって直接謝るのも違うと思うから」
アイシアからミオを奪った。
悪く言えばそうなってしまう事柄を、ミーティアも自覚しているのね。
だけど、それは結果論だわ。
「同じよミーティアと。アイシアだって気まずいはずだし、もし自分が選ばれていたとしても、ミーティアと同じことをするし考えるんじゃないかしら」
「……そう、かな」
あの子はそうでしょう。
ミーティアがそうしようとしたように、他人に気遣いが出来る子よ。
「二人で時間を掛けて、話せばいいわ。もしかしたら、二人にしか分からないような事を分かち合えるかもよ?ミオの事とか、愚痴とかもね」
「そ……」
首を
薄っすらと笑っているじゃない。少しは期待したんでしょう?
アイシアとも、そう言う関係になれる事を。
「――おいクラウ、そろそろアイズレーン様の所へ行かないか。他の……エリアルレーネ様までいらっしゃるのだろう……?
「え、あ~……そうね」
なんだかジルが緊張している。
女神が二人だものね、しかもジルは昔から、私たちが知らなかったアイズレーンの話を知っていた。
この村に訪れたのがジルじゃなかったら、きっとアイズの事もまだまだ知らない事だらけだったかもしれないわね。
「それじゃあ教会に行きましょう。その内アイシアも戻るだろうし、ミオだってそろそろ帰って来るでしょ……アイズは気が短いから、急いでいるとは思うし」
怒らせたら
怒ったら怖いとかじゃなくて、
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