7-74【テスラアルモニアの神2】



◇テスラアルモニアの神2◇


 ルーファウスに転生者や女神の事を教えたのは、俺が本当に仲間になって欲しいと思ったからで、後になっていざこざを生みかねない可能性を考えれば、早めに話しておく分は好都合だろ?

 実際に、ルーファウスは転生者(お師匠さん)との関連もあるし、転生の特典ギフトを使用できている時点で、かなりの稀有けうな存在だ。

 それに……いいやつだと思えるからな。


おどろきました……師匠せんせいのことは、ミオくんと雰囲気ふんいきを似ていることや、この剣……カタナでしたか。このカタナが特別な力がある説明も納得してました……」


 本当かよ。


「ですが、女神様がここまで身近な所に居るなんて……」


 そこなんだな、ルーファウスにとっての疑問は。

 少し、隠している気がする……女神の事を、ルーファウスは知っている気がするんだよな。

 ただ、確証はないし、噓にも聞こえないのが判断の難しい所だ。


「うん。さっきも言ったけど、アイズレーンに会えばわかるよ。会ったら多分イメージがガラガラと崩れさるだろうけど……はは……」


 乾いた笑みを浮かべ、俺は今までのアイズの言動や行動を思い出す。

 会う……か。いつまで持つんだろうか、あいつの命は。

 村に戻っているクラウ姉さんも、きっとアイズに会うはず、もう会っているかもしれないが、俺の話を聞いた姉さんなら……アイズに追及するはずだ。


「会って見たい気持ちはありますけど、少し怖いですね」


「そんな事は無いぞルーファウス。アイズ殿……いや、アイズレーン様は逸話いつわ通り、思慮しりょに溢れた崇高すうこうなる御方だった……」


 ジルさんがそう言うが、どこからくるの……その信頼感。


「そうなんですね、楽しみです、あ。そうなると……他の女神様も……どこかにおらせられるのでしょうかね」


「……う~ん」


 どうだろうか、俺の知る限りの女神は二人……この場合は二柱ふたはしらか?

 アイズレーンとイエシアスだ……ルーファウスの言うウィンスタリアが存在し、この世界に降り立っているのなら、考えられる行動の範疇はんちゅうは……やはりチート能力全持ち……俺の捜索だろう。


「もしいたとしても、味方とは限らないよ」


「え!?」


「……転生者にとって、女神全部がありがたい存在じゃないんだ。俺や姉さんを転生させてくれたアイズレーンは、まぁ味方ととってもいいけど。そのウィンスタリアが協力してくれるかは分からないよ」


 イエシアスは俺を怪しんでいたし、クラウ姉さんと何度か接触もしている。

 アイズが村に来てからは、俺は一度も会ってないけど。なにしてるんだろうな、今。


「ウィンスタリア様は違います……あ。そ、そんな気がしますけど」


「ん?」


「……いえ、すみません」


 自国が崇める女神だもんな、悪くは言いたくないか。

 どことなく居心地の悪そうな言動だけど。


「まぁ、女神はこの世界では真価を発揮できない様になっているんだってさ。アイズが言ってたよ、能力が人間並みに落ちるんだと。例外もいるけど」


「……そう、ですか」


 主神様ってのに、人間の身に堕とされたって言ってよな。

 でもってイエシアスが、例外そのもの。あのドエロイ女神は、神の能力をそのまま使えるらしい……見たことはないけど。

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