7-48【森の番人3】
◇森の番人3◇
白銀の、流れるほど綺麗な髪。
動きやすそうな軽装と、腰に下げた筒には無数の矢が。
肩には大弓が掛けられていて、エルフの女性はその弓を手に持つと、ゆっくりと地面に置いた。
俺とルーファウスは、その仕草に合わせて警戒を解く。
「あなたは……?」
「……私の名はエリリュア。そちらの少年が言う通り、【セントエルフ】です」
その女性から敵意は感じなかった。
弓も降ろしているし、本当に敵対するつもりは無いのかもしれない。
なんにせよ油断だけはしない様にして……
「エリリュアさん……は、どうして俺たちに声を?それと、後ろに他の人もいますよね?」
「はい。部下が二人……すぐそこで待機しています。先ずは説明をと、私が」
隊長さんって事か。でも、
それにしても、エルフが森の中……男二人に声がけしてくる理由はなんだ?
「もしかして……森の中に居たの、マズかったですか?」
可能性の一つは、不法滞在ってことだ。
もう国の名が違うとはいえ、エルフにとっての住処はこの森だったらしいし。
「いえ、そういう訳ではありません」
「……では、何が理由なのですか?
ルーファウスが問う。
確かに、ここは【テスラアルモニア公国】の領地だもんな。
森林地帯とは言え、人が通らない訳じゃない。今は王国での問題があるから人通りが極端に減っているだけで、冒険者や学生は
「……その通りですね。貴公等が森に滞在していたのは知っておりました、とある知人から報告も受けておりましたので」
貴公等って……中々に聞かない言葉だな。
『貴公等……と言うのは、目下の人間に使われるものです。なのでこのエルフの女性は、この森のエルフの中でも
「もしかしてエリリュアさんって、貴族か何かですか?」
ウィズからの助言を受けて、俺はエリリュアさんにそう言う。
エルフにはもう貴族とか言う称号は無いとジルさんから聞いていたが、もしかしたらプライド的なものがあるかも知れないしな。
「……!」
おっと、分かりやすく動揺したかな。
これは当たり……だ。
「貴族……まさか、王族の方ですか?」
ルーファウスも
王族も……まぁ貴族と言われればそうだな、そう言えば。
ん……?エルフの王族?
「これは参りましたね……ええ、その通りです。私は……女王の妹の娘、今の時代では何の意味もありませんが、血縁上は……王家の血を引きますね」
「人間族で言えば、公爵って感じか」
王妹の娘って事は、そうか……誰かに似てると思ったが。
この綺麗な銀髪を見れば分かる、ジルさんやジェイルの従妹って事だ、この人。
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