7-27【一年振りの帰郷3】
◇一年振りの帰郷3◇
様変わりは喜ばしい事、それは言わずもがな理解できる。
でも……寂しい気持ちが私の中に残っているとは思わなかった。
それがいい方向かどうか、確かめるのはこれから。
村がどういう風に変わったのか、ミオが一度帰ってからまた時間が経っている。
聞いた時点から情勢も変わりつつあるのだから、更に変わっている可能性は充分にあると思うのよね。
「さて、門番……って、いないじゃない!」
ミオは、ガルスくんが門番をしていたって言ってたけど。
そもそも誰もいないんだけど。
「不用心ですね」
「ホントそれね……まったく」
呆れを通り越して恥ずかしくなってきたわ。
イリアに不用心って思われて、恥ずかしい。
「仕方ない。入りましょう……別に構わないでしょ」
「はぁ……いいんでしょうか」
「いいのよ。私の村だものっ」
私は恥ずかしい思いを隠すように、ズカズカと大股で進んでいく。
後でガルスを見つけたら、動けなくなるまで訓練してやるんだから。
◇
言わなかったけど、よくよく考えたらミオが入ったのは北の門だった筈。
私とイリアが来たのは東門だから、ガルスがいない可能性はあったんだわ。
それでも、誰もいなかった事は確かな門を
「全っ然違うんだけど……建物めちゃくちゃ増えてる!それに人が多いっ!」
これが十年とかならまだ分かるけど、まだ一年よ?
たった一年で……普通ここまで進歩する?
「もっと小さな村を想像してましたけど……言われていたものと、だいぶイメージが違いました」
イリアが
いや、私もなんだけど。
「……ん?あれは」
イリアの言葉と同時に、村の通りに人だかりを見つけた。
ざわついている?……何かあったのかしら。
「行きましょう」
「……はいっ」
深刻そうな雰囲気をイリアも感じたのか、私たちはその人だかりへ向けて駆け出した。
「何かあったんですか?」
私は人だかりの端っこ、一人の男性に声を掛けた。
知らない人だったから、多分ミオが言ってた移住者ね。
本当に前よりも移住者が多いんだわ……
「ん?ああ……魔物だよ」
「――魔物!?」
「……どこにっ」
私は声を上げ、イリアは周囲を警戒した。
「ああいや、魔物は自警団の方が退治したよ……でも、その男の子が怪我しちゃったみたいでさ。子供たちにその様子を見えない様に、こうやって囲ってるのさ」
「……怪我?大きなですか……?」
「う~ん……どうだろう」
少し前の私なら、治療は軽々できた。
でも今は……魔力が安定しない。
ミオの能力――【
ミーティアの致命傷を癒すため、元々の存在魔力を大幅に超える魔力量の魔力を使用して、【
そのせいで、今の私は極端に最大魔力が低下しているんだってさ。
「クラウ、あちらに軽装をした兵士さんがいますよ……行ってみませんか?」
「ん……ええ。ありがとうございます」
イリアに返事をして、男性にも礼を言って。
私とイリアは軽装の兵士……おそらく自警団の人のもとへ向かう事にした。
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