7-24【まるで初めての仲間】



◇まるで初めての仲間◇


 出会いは色々だ。

 片腕が銃の男や、途中で離脱するどこかの王子。

 まるでRPGの最初の仲間のような、そんな展開だと俺は思っている。


 別に他のメンツが仲間じゃないって言ってるのではなく、俺がやってたゲームではそういう感じのが多かっただけです、他意はないぞ。

 つーか、仲間って言うよりは皆ヒロインじゃないのか。女の子ばっかだし。


 初めての仲間が女だった場合?おいおい、そんなのまるで序盤はデートじゃないか。二人目の仲間が可哀想かわいそうだろ。

 そんなの俺は許容できないね。


 ヒロイン以外の最初の仲間、それは男が良い。

 俺の中では相場が決まってんのさ。


「……どうかな、ルーファウス」


「……」


 呆然とするルーファウス。

 こらこら、そんな顔するなって。

 可愛い顔……じゃなくてイケメンが台無しだぞ?


 少しの間があった。

 そして、その時は来た……ルーファウスは突然、笑い出す。


「ふふっ……ふふふっ!あはははっ……面白いですね、ミオくんは。まさか友達だなんて言うとは思いませんでしたよ」


「そ、そうか?で、どうなんだよ。俺は手を差し出してるのも結構辛いんだけど?」


「あ、ああ……下ろしてください。握手は……ミオくんの怪我が治ってからでいいですよ」


 笑顔でそう言うルーファウス。

 お?それじゃあ……もしかして。


「いいのか?」


「はい。魔物を倒したいのもそうですし、故郷はもうすぐそこです……今すぐに帰らないといけない理由も無いですから、ミオくんの怪我が完治するまで……そうですね……護衛、傭兵かな?させて頂きます」


「おおっ!マジかっ!」


「それでいいのか?」


 喜ぶ俺と、若干呆れ気味のジルさん。

 結果的に、友達って言葉がフィニッシュワードになるとは。


「僕も友達少ないので、是非とも友達になって欲しいですよ、あはは!」


「おいおい、それじゃあ俺が友達いないみたいじゃないか……」


「――え、いるんですか?」


 当然のようにそう言うルーファウス。

 めっちゃいい笑顔で言うじゃん……あ、もしかして冗談を言ってるな?


「ふっ……いないけどもさっ」


 幼馴染が友達に含まれるならいるけど!


 それに、女友達はいるんだよ、イリアとかレイナ先輩とかさ。

 でも、男友達は初めてなんだ。

 ましてや自分から進んで友達を作ろうだなんて……前世でもないんだから。


「あははっ、すみません。ミオくん……よろしくお願いします」


「こちらこそだよっ!」


 丁寧に頭を下げるルーファウスの態度に、一切の悪意も悪気も感じない。

 こんな冗談を言い合える男友達……前世でいたら楽しかっただろうな。

 だから俺は、今世で楽しむよ。


 よろしくな、ルーファウス。

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