7-22【男の仲間、欲しくない?2】



◇男の仲間、欲しくない?2◇


 信頼を見せるには、まずは条件を相手側に寄せる事だ。交渉とも言うな。

 ルーファウスにだって考える時間も必要だろうし、何より俺たちはまだ信頼なんてされてないだろう。

 優し気で幼い見た目の少年だ、いきなり断る事はしないと思うけど。


「もちろんルーファウスだって直ぐには答えられないだろうし、これから部屋を用意するから、好きなだけ考えてくれ。当然、その間の食事は用意するからさっ」


「え、いや……そこまでしていただく訳には……」


「いいからいいからっ、ね、ジルさん?」


 グッと親指を立てて、俺は歯を見せて笑う。

 そして、ちらりとジルさんを見る。

 後押しお願いしますよ、頼りになるお姉さん!


「……ああ。どうだろうルーファウス。わたしもミオも、お嬢様も……同じ考えだと先ほど言っただろう?聞けば、亜獣を倒す程の実力……ミオを助けてくれた礼もしたい。ここはわたしの流儀的に言うと……契約をしないか?」


「契約ですか?」


 その通りだな、それが一番効率がいい……と言うか、信頼度を示せる。

 冒険者や騎士をして、契約関連には過敏なジルさんらしいや。


「そういう事さ、キチンと報酬を払わせてもらうよ。ルーファウスが望むなら、前金でもいい……多少のたくわえはあるからさ」


 言いながら、俺はジルさんを見る。

 合わせてうなずくジルさん。金を出してもいいと言う事だな。


「い、いえ……そういう事ではないんですが」


 金には困ってないのか?

 それとも別の問題?


 ルーファウスは「う~ん」と目をつぶり、腕組みをして考える。

 その仕草が、背伸びをする子供のように見えてしまい、少し面白い。


「……」


 どうだろうか。

 それほど大きな問題はなさそうだけど。

 契約だってしっかりしたものを用意は出来る。金額も、大きくはないが妥当な値段を支払える自信がある。

 信頼を見せるのに、契約という縛りを持ち出すのは気も引けるが、この世界でも書面は大事だ。


「……」


 考え続ける理由は何だろう。

 魔物を倒して故郷に帰る。それが近々の目的なら、ここら辺を拠点にしている俺たちと一緒に居ても、達成は出来る。

 現在地が、ルーファウスの産まれた国である【テスラアルモニア公国】なんだからな。


 そして、数分考えたルーファウスの……出した答えは。


「……分かりました。どうして僕なのか、それはきっとこの剣なんでしょうね」


 刀――【天叢雲剣あめのむらくものつるぎ】を見ながら言う。

 確かに、転生者の証であるそのチート武器は魅力的だ。

 実際に俺も助けられているし、亜獣を一撃だもんな……刀を理由にされたと思ったのか。


「そうじゃないよルーファウス」


「え?」


 俺は言う。コレが最大の理由だ。

 【天叢雲剣あめのむらくものつるぎ】が魅力なのも噓じゃないし、ルーファウスの実力が疑いようのない強さなのも分かる。

 だけど俺が一番、ルーファウスを傍に置きたかった理由は――

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