7-21【男の仲間、欲しくない?1】



◇男の仲間、欲しくない?1◇


 ルーファウスの話を聞いて、率直そっちょくに思った事を申し上げよう。

 魔物を倒して旅をしていた、転生の特典ギフトを持つ特異な現地民。

 転生者でもない彼は、話す限りは善良な少年だと思った。


 今後は故郷に帰るらしいが、冒険者や学生が行動を制限された事で【魔力溜まりゾーン】が活性化し魔物が増えてしまった。

 それを倒したい……それが今のルーファウスの目的だってさ。


 現状、俺たちに必要な存在。

 それは戦える存在だろう。


 怪我と不調を抱えた俺とミーティア。

 守る事を主としたジルさん。クラウ姉さんも魔力の完全回復まで時間がかかる。

 魔物の撃破や狩り、現在はそれをイリアが行ってくれている。

 イリアにばかり負担がかかっている事は、皆も気付いている筈だ。


「ミオくん……?どうしたんです?」


「ん?ああ、ちょっと計算をね」


 「計算?」と、ルーファウスは自分の事を考えられているとは思っていないようだ。そんな鈍感な所が、また良い感じだろ?

 え、お前が言うな?何の事だよ。


「ジルさん」


「――ああ、わたしも考えていた、多分ミオと同じだろう。そしてそれはお嬢様も考えてはいるはずだよ」


 フフッと笑うジルさん。

 俺は目を見開いた。それと同時に、同じ考えをくれた事にめちゃくちゃ嬉しくなった。


「だよな!そういう事だよルーファウスっ!」


「――ええ!?な、何がですか??説明をしてくださいよ~!」


 サムズアップしてウインクをする俺に、顔を青くして困り顔をするルーファウス。

 あわあわしてる……マジで年上なのか?


「ルーファウス。単刀直入に言うぞ、いいか?」


「え……ちょっとなんですか、僕たちまだ出会ってから数十分ですよね?まるで何年も一緒にいるような雰囲気ふんいきなんですが……」


 それはそうかも知れん。そこはあれじゃん、ノリだよノリ!

 『――警戒は忘れていません』……とウィズが言う。

 それがあるからこそグイグイ行けるってもんだ。


「いいから聞けって、ルーファウスにも悪い話じゃないからっ」


「は、はぁ……」


 既定路線に乗ってるんだよ、もう。

 信頼を勝ち取る。それは当然だし、真意も知りたい。

 でも、それは仲間になってからでも遅くはない。

 ルーファウスは俺にとっての、異世界での初めての……男の仲間なんだ。


「ルーファウス。故郷に帰る間に、魔物を倒すんだよな……それ、俺たちと一緒じゃダメか?」


「え、一緒……ですか?」


 指を顎に当てて考えるルーファウス。

 仲間にも色々形がある……まずは傍にいる事だ。

 その為には。


「ああ。もし都合が悪くなければ……俺たちと一緒に行動をして欲しいんだ、これから。少しの間でもいいし、普段はルーファウスの自由にしてもらってもかまわないよ」


「……」


 目を見開いておどろきを表すルーファウス。

 力を貸してくれでもなく、協力しろでもなく、一番の妥協点。

 知り合って間もない間柄でやりやすいのは、信頼を見せる事だ。

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