7-18【後悔は遅い2】



◇後悔は遅い2◇


 地べたに座らせられるってのは、子供の時以来だよ。

 正座をして、俺は二人の女性に見下げられている。


 なぁミーティア、足痛いだろ?無理すんなって。

 ねぇジルさん、ミーティアを運んで来たんだろ?疲れてんじゃないの?


「そんな目をしてもダメよ、ミオ」


「そうだぞミオ……わたしもクラウに言われているからな、こう言った行動を見過ごす訳にはいかない。きっちりと報告はするからな」


 ぐっ……姉さんが戻ってくれば、家を見れば直ぐにバレるとは言え、この二人に後押しをされたあのじゃじゃ馬が何をしでかすか……怖すぎる。


『だから進言しましたよ。ゆっくりやればいいと』


 しょうがないだろ!一度始めたら止まらないんだ!

 掃除を一度始めたらぶっ続けでやっちまう感じ!

 今回もそれだって!ああ言うのって、具合悪くてもやっちゃうだろ!?


『知りません』


「ミオ~?ねぇ今、ウィズさんから私に報告が来たんだけど……」


 ミーティアが、眉間にしわを寄せながら俺に言う。


「――え?」


 ウィズが……個人的にミーティアに回線を繋いだって事かよ!


 何やってんだよウィズ!

 裏切りか!?


『ウィズも色々と試しているのです。ご主人様の魔力が上手く回せないので、せめて報告用に、ミーティアの【オリジン・オーブ】との回線を接続させました。ご主人様の魔力を発動のキーとなっているからでしょう。今はご主人様と話すよりも安定しています。これで確実に、自由に連絡を出来ます……ミーティアだけですが』


 余計な真似を。俺は半眼で虚空を見ている。ウィズの顔なんて分かんねぇけど、なんだか無性にアイズの奴の顔が浮かんだ。


「聞いてるミオ、反省!」


「すいません!!」


 力を使いすぎた事、無断で戦った事。

 反省はしますよ……この展開には納得してないけどな!





 反省終了だ。後悔してても何も変わんないし。

 ルーファウスって言うお客さんも居るんだし、長くはやってられないからな。

 それに、二人もこんな姿見せたくなかったはずだろ。


「……悪いな、ルーファウス。いきなり変なところ見せてさ」


「い、いえ……おどろきましたけど、その……大変ですね」


 分かってくれるか。これに更に数人追加されるんだ。


「でもって、俺を馬鹿程しかってくれたのは……こっちがミーティア。でもってこっちがジルさん……大事な仲間だよ」


 俺は左手を差し向けて二人紹介する。

 それを合図に。


「ごめんなさい、ミオを助けて頂いたのに……ミーティアです」


 ミーティアはそう言いながら、ティーカップをルーファウスの前に置く。

 若干笑顔が引きつってる……恥ずかしい所を見られたような、そんな笑顔。


「あ……どうもです。僕はルーファウスって言います」


「わたしはジルリーネだ。ジルで構わないよ」


 ジルさんは恥ずかしくはなさそうだな。

 笑顔でルーファウスに手を差し出す。


「ど、どうも」


 ルーファウスも笑顔でその手を取り、握手をする。

 うん。取りあえずはいい感じだろうな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る