7-16【追跡者2】



◇追跡者2◇


 所持者の思う形に姿を変える、それが武器の転生の特典ギフトの特徴か。

 でも、この男は……転生者じゃないっぽい。

 だけど持っているその刀は……転生者の証だ。


師匠ししょうって言ったけど、その人の刀をなんでお前……いやごめん、君が?」


師匠ししょうが亡くなった時……たくされたんです」


 可能なのか、ウィズ。

 転生の特典ギフトを他人に受け渡すなんて……俺の【譲渡じょうと】以外の方法が。


『――不可能です。ですからウィズも混乱しています』


「それ、消えないの?」


「消える?この剣が?どこにですか?」


 キョトンとする。マジで転生者じゃないんだ。


「あ~いや、何でもないよ……あ、ですよ?」


 そう言えば、童顔とは言え年齢も名前も聞いてなかった。

 自己紹介もまだだし、こんな森の中で話す内容でもないな……


「あはは。面白い方ですね……ってそうか!僕も名乗ってなかった!!師匠ししょうに言われてるのに!最初の挨拶が肝心だって!」


 「うおおお」と、頭を抱えてうなる少年は……年相応に見えた。

 いや……年齢聞いてねぇけどさ。


「改めて……僕はルーファウス。ルーファウス・オル・コルセスカって言います。十七歳です……よろしくお願いします!」


 年上だった。


「俺はミオ・スクルーズって言い……ます。失礼を」


「あはは!いいんです、よく言われますしね……幼いって、はは」


 かわいた笑みを浮かべるルーファウス。

 目元に影を落として、遠くを見ていた。


 おいおい、ズーン……って、分かりやすくへこんでんじゃねぇか。

 それにしても、十七?マジで?十代前半でも通じるぞ。


「ミオくんですか、格好いい名前ですね!」


「……いやいやいや……ルーファウスの方が万倍カッコいいだろ!」


 俺がどれだけカッコいい名前に憧れたと思ってんだ。

 ミオ……転生者おれたちからすれば、ミオは女の子の名前だ。

 一般的だが、皆もそう思っているだろうし俺も思ってる。

 この世界ではミオは男の名前で通用するからまだいいが。

 そう思えば、このルーファウスって少年はマジでこの世界の人間。転生者ではないんだろう。


「え?そうですかね……長ったらしくて面倒ですよ?家名まで入れたら特に」


 くっ……贅沢な悩みを!


「ルーファウスくんは……」


 年上だし、敬語の方がいいよな……と、俺がそう言おうとすると。


「――あ、呼び捨てでいいですよ、僕はその方が嬉しいので。それと丁寧な対応も必要ありません」


「そうか……?個人的には助かるよ。それじゃあ……ルーファウス。魔物を倒してくれた礼がしたい……あっちに俺たちの拠点があるから、そっちで話さないか?」


「……俺たち・・、ですか」


「ああ。仲間がいる……女性ばっかだから、俺も話し相手が必要だったんだ」


 ニッと笑い、俺はルーファウスを小屋から進化した家に案内することにした。

 そこでジルさんとミーティアが待っているとも知らず、吞気のんきに。

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