6-133【蛮行の王国14】
◇蛮行の王国14◇
「ぐっ、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
チャラ男の身体能力は、お世辞にも高いものではないと、その動き方で
魔力の
どさりと地面に倒れ伏して、ゴロゴロと転がる。
「いってぇぇぇぇぇ!き、斬られ……だぁ!」
「……へぇ」
このチャラ男、意外と魔力が高いらしい。
思いの
痛がっているだけ大したものだわ。
「このクソチビィ……腹が、いてぇ」
「ク、クラウっ」
「クラウっ!」
ミーティアとイリアが駆け寄る。
私は左手で二人を抑え込むように
もう一人の男が、二人を睨んだからだ。
私は振り向かないまま、二人に言う。
「とりあえずは無事でよかったわ。ミオに言われてね……「ティアとイリアを頼む」って、私は一人で考えたい事もあったってのにね」
「そうなの?でもミオは?」
「わ、私の名前も入ってた……」
念の為周囲を確認するミーティアと、どこに喜んだのか顔を赤くするイリア。
「いないわ。ジルの所に行くって言ってたけど……他の場所でもあの
大抵予想がつくわ。
ミオがジルの方に向かったのは、私を暴れさせない為だろう。
もしあの時、私が代わりにジルの所に行けば、ブレーキ役が居なくなるもの。
一人になった私は、きっと騎士だろうがなんだろうが斬るだろうから。
こっちにはミーティアとイリアが居るし、自分の代わりに抑えてもらおうとしたんでしょうね。
「ジルリーネ……」
心配そうに
「平気よ。騎士に囲まれていた……って言ってたけど、ミオなら戦わないでやり過ごせるわ。だから安心して、ミーティアが狙われるかもって言ってたのも正解だったし、ミオは冷静よ……だからジルも大丈夫、多分ね」
私ならガッツリ戦うけど。今みたいに。
それに……その騎士たちはなんか変。正規に見えないって言うのもあるし、なんとなく、国に
「分かったわ……信じる」
ミーティアがこの騎士について行こうとしたのは、きっとイリアや他の人たちを巻き込まない様にしようとしたんだろう。
それしかなかったのかもしれないけれど、それだとミオがブチギレちゃう。
「ええ、二人で逃げる……のがいいんだけど、無理かしら」
ちらりと視界に入り込んでくる、騎士たち。
チャラ男と大男以外の一般騎士……ってところかしら、数は……二十。
まぁまぁいるわね。
「うん……私じゃあ追いつかれちゃうわ、でもイリアなら」
「い、嫌です!ミーティアを置いてはいけませんっ」
ミーティア、その考えはもうやめなさい。
何のために私が来たと思ってるのよ。
「大丈夫よ、二人共……私が守るわ。天使だからね」
「……クラウ」
「私がミーティアを守りますので、クラウは!」
「ありがとう、イリア。頼むわねっ」
イリアはよく分かっているじゃない、私の性格を。
ミーティアは混乱しすぎ!だけど、あの騎士が何を言ったのか、どうやってこの子の心を折ろうとしたのか……腹が立つのは確かだわ。
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