6-109【選んだ結果2】



◇選んだ結果2◇


 ど、ど、どうすればよいのか……ミオを呼びに行こうにも、ミーティアにここにいてと言われてしまい、私はオドオドするしか出来ません。

 ミーティアはエルフの女性、ジルリーネさんから視線を外さず、ジッと見ていましたが……その視線から逃れるように、ジルリーネさんは私を見ました。


 そして。


「……ハーフエルフか」


 ズキリ……と、心に何かが刺さった気がしました。

 分かってはいます。ハーフを一番み嫌うのは、何を隠そう……エルフなのですから。

 高貴なる血をけがした、半端者ハーフ……純血種からすれば、どんな感情を持っていても不思議ふしぎでは……ありませんよね。


「――ジルリーネ。彼女は私の友人よ……そんな視線は、止めて。お願いだから」


 ミーティアの心からの叫び。

 切なそうにジルリーネさんへ言うその言葉、私にはそう感じましたし、それだけで……救われた気がしました。


 その言葉に、ジルリーネさんはハッ――として。


「……申し訳ございません。何分……わたしは王女の身です。血のとうとさは何よりも重んじておりますので。ですが、お嬢様のご友人を愚弄ぐろうするつもりはありません。その点は、ご容赦を」


 頭を下げるジルリーネさん。

 そうか……私自身ではなく、血を。

 いや、それよりも……王女、さま?


「それならいいの。始めから分かってるわ……貴女がそんな事を考えるはずがないって。だってそれなら、子供の頃から私にそう教え込んでいるはずだもの」


「ミーティア……」


 ミーティアは、ミオやクラウと同じで私をバカにしなかった。

 こんな私を友人だと言ってくれて、頼ってくれて。


「――すまない。変な態度だった……許してくれ」


 ジルリーネさんは私たちに歩み寄り、再度頭を下げた。

 今度は私に直接。


「い、いえっ!こちらこそ……その、王女殿下だとは気付かずもせず、半端者とは言え、無知でした!」


「いや。わたしも同じだ……エルフの王女とは言え、今は国もない種族だからな。大昔からそう教え込まれていたとはいえ、時代に逆行したおろかな態度だったよ……すまないね」


 そう言ってジルリーネさんは私に手を差し伸べます。

 取っても……いいのでしょうか。

 そんな私の迷いを知ってか、ミーティアが。


「イリア。平気よ……ジルリーネは、少し真面目過ぎるけど。実直で高潔こうけつ……凄く優しい人だから」


 ミーティアのその言葉は、まるで自慢の家族を紹介するような、そんな感じに見えました。

 そしてジルリーネさんも、くすぐったそうにほほを染めていました。


「さて……お嬢様。ここではなんです、場所を移しませんか?勿論もちろん、ご友人も一緒にね」


 私も、いいのでしょうか。

 ですが確かに、先程までの険悪な感じは無いような、そんな気がします。


「そうね。じゃあ、この先にある広場に行きましょう……そこにミオとクラウもいるわ」


「そうですか、では……そうしましょう」


 そうして私たちは移動します。

 ミオとクラウが待っているであろう広場に。

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