6-61【さいきょーしゅぞく3】



◇さいきょーしゅぞく3◇


 翌朝、俺はロクッサ家に向かった。

 リアを……アイズの家に連れていく為だ。


「おはようございます、おばさん。その、お久しぶりで……」


 なんとなくだけど気まずい。

 アイシアの母であり、父さんの元カノ……って事を、子供たちの中では俺だけが知ってるから。

 ……ってのも勿論もちろんあるのだが、やっぱり……アイシアの事が申し訳なくなる。


「あら~ミオ君!帰って来てた事は知ってたけど、ごめんなさいね一昨日は会いに行けなくて」


「い、いえ……俺も忙しかったので」


 宴会の時の話だよな。

 確かにこの人……リュナさんはいなかったな。


「アイシアに会いに来てくれたの?でもごめんね~、もう畑に行っちゃったのよ~。旦那が急かしちゃってさぁ……あの子もまだ眠ってるってのに」


「そうですか」


 旦那さん……アイシアの親父さんだ。

 滅多に見ないんだけど、朝早いんだな……流石に村二番目の農家。


「……ってことは、眠ってるってのは、リアですか?」


「そうよ?もうぐっすり眠ってたわ。アイシアの小さい頃にそっくりで、笑っちゃったわよ~」


 リュナさんは笑いながら言うが、その言葉を聞くだけで、俺は別の意味に取れてしまう。

 EYE’Sアイズだから、似ているんじゃないか……そうじゃないのかってさ。


「そうなんですね。でも……リアには申し訳ないけど、ちょっと用事があって」


「あ~……アイシアに聞いてるわよ。ちょっと待っててね、起こしてきてあげる」


「すんません。お願いします」


 アイシアは畑に行ってる。

 そりゃあ仕事なんだから仕方ないが、本当に早起きだよな。


 俺はロクッサ家の室内を見渡す。

 この家も、俺が【無限むげん】で建て直した外観を使用している。

 それでも、中身は昔からの物が多い。

 俺は格別多く遊びに来たとかじゃないけど……アイシアの趣味は分かるし、家族ぐるみの付き合いだから多くを知ってる。


「これ、俺用の食器だ」


 子供の頃に使っていた物が、食器棚の中にまだ残っていた。

 よく見れば、隣には同じ物の色違いが。アイシアのだったはずだ。


「おそろ……だったんだ」


 小さい頃は、気にもしなかった些細な事。

 だけど……知れば知るほど、アイシアが……


「おにいちゃん!おはよっっ!」


「リア……おは――おわっ!?」


 聞こえて来た元気な声に、俺が振り向いた瞬間……身体に衝撃。

 ドゴスッ――!!と、リアが飛んで抱きついて来たんだ。


「……お、おお……リア、おはよう。朝から元気だな」


「うんっ。さいきょー!」


 それ気に入ったんか。

 最強種族、【竜人ドラグニア】。

 そんな女の子……リア。

 この子を連れて行って、俺はもっと深く知らなければならない。

 EYE’Sアイズの事を、アイズレーンの事を。


 そして、アイシアの事を。

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